7月中旬。東京・お台場にある「BMW GROUP Tokyo Bay」に数人のメディア、BMWジャパンのスタッフ、東京電力の職員らが集まった。総勢10名強。なぜBMWと東京電力の組み合わせなのか不思議に感じる方もいらっしゃるだろうが、両社はある取り組みにおいて同じベクトルを向いている。
ちなみに、BMW GROUP Tokyo Bayは、BMWグループのフラッグシップ・ショールーム。BMWはもちろんのこと、同グループのカーブランドMINIのクルマも展示されている。付近にはトヨタの多目的型ショールーム「MEGA WEB」もあり、クルマ好きにはたまらない地区だ。
さて、なぜBMWと東京電力が同じベクトルを向いているのか。まず、東京電力だが、知ってのとおり福島原発において大きな事故が起こった。以前から再生可能エネルギーの活用を模索していた同社だが、この事故以降、その姿勢は一層加速した。一方、BMWは電気自動車(EV)の普及に積極的だ。つまり、水力発電によるクリーンな再生可能エネルギーと、クリーンなEVの組み合わせを意識づけるために、今回メディアが招待されたのだ。
そして、この招待のもうひとつの理由が「アクアエナジー100」という電気料金プランをローンチしたこと。これは、水力発電100%のプランで、自宅のクルマがEVならば、このプランによりCO2排出が限りなくゼロに近くなる。料金は通常プランよりも約2割増しになるが、その分、環境保全に生かされる。今回は、そのプランのプロモーションも兼ねたメディアツアーでもある。
目的地は丸沼ダム
目指す場所は群馬県・丸沼発電所(以下、丸沼ダム)、そして移動手段は「BMW i3」。当日は数台のi3が用意され、メディアやBMWスタッフ、東京電力職員が分乗し、関越自動車道を北上した。
実は筆者は、EVに乗るのは初めてだった。そのためEVに対して誤った固定観念を持っていた。「高速道路を走行する性能はないのではないか」「山道を登坂するパワーはないのではないか」「航続距離が短く実用的ではないのでは」といったことだ。だが、この日、i3に乗ってみて、そのすべてが間違いだったことを思い知った。高速道路では、追い越し時にグイグイ加速するし、登坂時もスムーズ。むしろガソリン車よりも速いのではないかと感じるほどだ。給電も往路で1回のみ。サービスエリアで30分の急速充電が可能なので、昼食を食べているあいだに完了する。
EVの実用性は十分だし、そしてクリーンなことを考えれば、もっと日本で普及してもよいのではないかと思った。ただ、今回乗せていただいたi3は、諸経費を含めると600万円ほど。国から補助金が出るとはいえ、やはり価格で躊躇している方も多いのだろう。ただ、ガソリンが高騰している折、ランニングコストを考えれば、もとは取れそうな気もするのだが……。