Appleは6月4日、カリフォルニア州サンノゼで世界開発者会議「WWDC 2018」をスタートさせた。初日の基調講演で最初に、最も長い時間を割いて紹介したのは「iOS 12」だった。iOS 12の登場によって、現在の我々のiPhoneの体験はどのように変化するのか。核となる進化と、新しい2つのアプリを中心に紹介していこう。
iOS 12のプレゼンテーションで冒頭に驚かされたのは、iOS 11でサポートしていたデバイスで、今回の更新によって非対応となるものがなかったことだ。
iOS 11ではiPhone 5s以降のモデルで利用できたが、iOS 12ではその要件が引き継がれることになる。、2018年秋に配信されるiOS 12で採用される様々な新機能を利用できるユーザーの幅が広く、その影響範囲も広くなることになる。
iOSプラットホームは伝統的に、最新版の普及率がAndroidのそれに比べて非常に高くなる傾向にある。それも極く短い時間でだ。2017年9月に正式版が配信されたiOS 11は、7週間で普及率が50%を超え、現在のインストールベースは81%。Androidの最新版が6%であることと比較すると、大きな差がある。これは、最新OSに合わせてアプリを開発しても、より多くの人々がアップデートしてるがゆえ、生じる問題がより少なくなるのとイコールである。このことによる、開発者にとってもメリットは大きい。
しかし、古いiPhoneで最新OSを動作させると、どうしてもスムーズに動かない、という事象は発生してきた。そこでiOS 12では、高速化に力を入れている。例えばiPhone 6sでは、アプリ起動が40%、キーボード表示が50%、カメラ起動が70%高速化されるという。また共有シートの表示は2倍高速化される。
その秘密について、ソフトウェア担当シニアバイスプレジデントであるクレイグ・フェデリギ氏は、Appleが開発するプロセッサの性能を最大限に生かす取り組みの結果だと説明した。通常、負荷がかかる際のCPUの性能曲線は緩やかに高まり、緩やかに元に戻る。しかしiOS 12では一気に性能を発揮するようチューニングしているという。
現在iPhone 5sやiPhone SE、iPhone 6、iPhone 6sなどを利用しているユーザーは、iOS 12によってパフォーマンスの改善が期待でき、電池の問題さえなんとかすれば、引き続き愛用し続けられるようになるだろう。
このことは、廉価併売モデルが人気の新興国のユーザーにとってもメリットが大きく、また開発者にとってもアプリをより高速に動作できるようになり、体験そのものが向上すると予想される。