Xperia Ear Duoはものすごく多機能なイヤホンなので、「音質」について、というか「音の聞こえ方」について先にコメントしてしまいたいと思います。

  • 音を生むドライバーが筐体の中にあって、音道管を通って耳の手前で鳴らす独自の構造を採用しています

イヤホンとしての純粋な音質については、中高域から低音までフラットでバランスのよいサウンドを特徴としています。ソニーがウォークマンなどのオーディオ機器にも搭載する「Clear Phase」の機能をオンにすると中高域の透明感がアップして、特に声の繊細なニュアンスの変化がクリアに聴こえるようになります。スマホとのBluetoothの接続モードは「音質優先」と「再生時間優先」を選べます。

  • ワイヤレス接続の音質は2段階で選べます。音楽再生なら「音質優先」、動画鑑賞なら「再生時間優先」がおすすめです

特殊な開放型の形状をしているイヤホンなので、低音の聞こえ方や音漏れは気になっていましたが、前者については音楽を楽しむ分には心配不要です。低音の輪郭が鮮明なので、ジャズのピアノトリオでもベースの活躍ぶりをしっかりとフォローできます。

ボーカル系の楽曲はメロディに"節"があるし、普段から聞いている曲は歌詞も覚えているのでストレスなく聴けましたが、NetflixやAmazonプライム・ビデオで海外ドラマを視聴してみると、セリフが英語だし、いくらイヤホンの元の音がクリアでも、環境音と混じってやや言葉の輪郭が滲んできます。地下鉄内での動画視聴はさすがに音だけでは厳しく、字幕頼みでした。

  • 動画の遅延は音声モードを「再生時間優先」にするとレイテンシが気にならなくなりました

外への音漏れについては、自宅の静かな部屋の中でボリュームを上げて音楽を聴いていると家族から指摘を受けました。屋外では周囲の生活音に紛れてしまうので、あまり気にしすぎる必要はなさそうですが、混雑が極まる朝の満員電車の中で使う時などには周囲への配慮をお忘れなく。

  • 音関連も色んな機能を搭載。アダプティブボリュームコントロールは内蔵マイクで拾った環境音を計測して音量を自動的に最適化する機能です

左右間の音切れは少なめ。初のNFMI採用

左右イヤホンの接続方式は音切れに強く、伝送遅延が少ないと言われているNFMI(近距離磁気誘導)がソニーの完全ワイヤレスイヤホンとして初めて使われています。NFMIにしないと左右のイヤホン間でも音声信号の遅延が発生するので、両耳でのハンズフリー通話を実現するためには不可欠のテクノロジーだったそうです。

これは実際に使ってみても、音切れがとても少ない完全ワイヤレスイヤホンだと思います。Bluetooth接続は「音質優先」でも十分に安定していて途切れにくいのですが、動画視聴時の口元の動きを気持ち良く同期させたい場合は「再生時間優先」を選びましょう。モードを切り替えるといったん音が途切れて、Bluetoothの切断・再接続が行われます。

音楽と環境音が同時に耳に入ってくる「デュアルリスニング」には“開放型”イヤホンならではの魅力があります。音楽を聴きながら家事やショッピングができました。特に皿洗いやアイロンかけなど反復作業を求められる家事に勤しむとき、身近に音楽があると励みになるものです。本機で音楽を聴きながら調子に乗って部屋の中を歩き回っていると、気付かぬうちにスマホとのBluetooth通信の範囲外に飛び出てしまって音楽が途切れることがあります。単体でもWi-FiやLTEのネットワークに接続できるスマートイヤホンがやはりあってもよいかもしれません。

着けて過ごす時間が長くなるデュアルリスニング

Xperia Ear Duoが日常生活の中で音楽リスニングの機会を広げてくれると、イヤホンを着けたまま過ごす時間が長くなってきます。すると、普通のワイヤレスイヤホンではあまり気にかけなくなっていた「連続駆動時間」が心配になってきます。

Xperia Ear Duoはイヤホンの内蔵バッテリーの連続駆動時間が音楽再生で約4時間。普通のイヤホンで4時間以上頻繁に音楽を聴くことはあまりなかったのですが、Xperia Ear Duoをつかうようになり、BGMのように音楽を「ながら聴き」する時間が長くなってくると、ふとバッテリー残量が30%ぐらいになっていることに気がつく機会が増えました。まめに休憩を挟んで、イヤホンを充電する習慣を身に着けたほうが良さそうです。(つづく)

  • ホストアプリにはイヤホンの装着方法や使い方を解説した丁寧なユーザーガイドが収録されいます