気づかれにくい要素に注がれた、超一流の技術力

某バラエティ番組で、「細かすぎて伝わらない~」というシリーズをご覧になられたことはありますでしょうか? 別にパロディを意識するつもりはないのですが、PS4版『ゴッド・オブ・ウォー』にも、「細かすぎて伝わらない技術力」という部分があります。正直、こんな要素を書いたところで誰が喜ぶのかわかりませんが、書かずにはいられなかったので記事の終わりに3点だけ書かせてください。

1)雪の作りがすごい

スタート地点の近く、息子が亡き妻と住んでいた家の近くには雪が積もっていますが、クレイトスがここを歩くと雪が削れ、地面が露出します。どうやら、この雪のオブジェクトはクレイトスが歩くことで削られるようになっており、地面と雪が別々に作られているのです。これにより、自然な足跡が残り、敵との戦闘を終えれば、足元には地面が露出します。

背景にはフォトリアルなグラフィックを採用しているところに、こうした仕掛けが加わることで、より「自然な背景」に仕上がっているのです。

  • この足跡は、クレイトスが歩いてできたもの。何往復もすれば足跡が増え、少しずつ地面が露出していく

2)ロード画面がない

クレイトスが戦闘に敗北し、少し手前からやり直す時を除き、普通にゲームを進めているだけでは「ロード画面」というものが表示されません。今プレイしているフィールドと、次に進む場所のデータを先読みしていると思いますが、これだけのグラフィッククオリティのゲームながらロード画面が表示されないことは衝撃です。

  • 中ボスが登場するデモムービーも、戦闘が始まっても、戦闘が終わってフィールド移動画面になっても、まったくロード画面が表示されない。唯一、表示されるのはミスをしてクレイトスの体力がなくなり、再スタートする時くらいだ

3)エンディングまで20時間以上に及ぶ長回しカット

映画の中には「長回し」が話題になる作品もあります。それと比較すると、この『ゴッド・オブ・ウォー』はオープニングで斧を振っているクレイトスのシーンから、かなりの長尺に渡ってカメラアングルの切り替えがありません。実写映画と比較するのは筋違いかもしれませんが、「ムービーもゲームも区切りがなく、ワンショットの映像が続く」演出は、映像演出としても新鮮さを感じました。映画好きの人にこそ、この長尺演出の感想を聞いてみたいものです。

  • ゲームスタート直後、妻を火葬するための木材を斧で切り倒すところから、長回しのカメラワークが続いている。ロード画面が存在しないシームレス進行のゲームだけに、そのワンショット映像の長さが際立つ

このゲームに興味を持って下さった方々へ

最後に一言。具体的なタイトル名こそ挙げませんが、アクションゲームの中には「ボタンを連打しているだけで爽快に敵を倒せるゲーム」というものも存在します。このゲームも、前作までは比較的そんな要素を持っていたという印象はあります。しかし、最新作は明らかに違うのです。敵のモーションを観察し、攻撃を避け、隙に反撃する。一般的なアクションゲームとしては当たり前のことですが、そういうアクションを楽しみたいと思う方には、素晴らしく興奮できるゲームに仕上がっていると思います。

一方で、「そんなに難しいゲームは嫌だな……」と感じているライトユーザーの皆様、ご安心下さい。本ゲームには「EASY」モードも用意されていますので、アクションゲームが苦手な方でもエンディングまで遊ばせて貰えるような設計になっています。

一人でも多くのプレイヤーが、この不器用な父親の物語に参加できることを祈っています。

  • クレイトスも大男ではあるが、そのクレイトスの何倍も大きいボスとの戦闘もある。ボタンを連打しているだけではクリアできない、アクションゲームとして作られている『ゴッド・オブ・ウォー』を楽しんで欲しい

『ゴッド・オブ・ウォー』

発売日:発売中(2018年4月20日)
価格:パッケージ版:6,900円+税
   ダウンロード版:7,452円(税込)
デジタルデラックス版:8,532円(税込)
ジャンル:アクションアドベンチャー
フォーマット:PlayStation4
CERO:Z(18才以上のみ対象)

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