音楽アプリゲーム『8beat Story♪』(エイトビートストーリ―/以下:エビスト)から誕生した声優ユニット「8/pLanet!!」(ハニープラネット/以下:ハニプラ)の1st Anniversary 3rd LIVE「行くぜBLITZ!青春の想いを込めて!」が2017年11月12日、東京・マイナビBLITZ(赤坂BLITZ) にて開催された。

  • 『8beat Story♪』1st Anniversary 3rd LIVE「行くぜBLITZ!青春の想いを込めて!」

出演者は、桜木ひなた役の社本悠、水瀬鈴音役の吉井彩実、神楽月役の吉岡美咲、橘彩芽役の青野菜月、姫咲杏梨役の金魚わかな、星宮ゆきな役の和氣あず未、源氏ほたる役の吉村那奈美、メイ役の澤田美晴。

今回は、ハニプラにとって「転機」になっただけではなく、さらにその先へと歩みを進めることが発表された本ライブの模様をレポートする。

●ロックなナンバーで開幕

『8beat Story♪』は、アンドロイドたちによる音楽が中心となった世界で、「生の歌声を届けることでしか生まれない感動を広めたい!」という想いを持つ女の子が集まり、仮想空間で行われるアンドロイドとの「ライブバトル」に挑んでいくというストーリーの音楽アプリゲーム。

そのゲームから誕生したハニプラは、メインキャラクター8人のユニット。「ゲームに出てくる8人のキャラクターと、現実世界でも会える!」をコンセプトに活動している。

今回の3rdライブは、「各キャラクターのソロ楽曲がゲーム内で配信されてから初めてとなるライブ」であり、「過去最大級の規模の会場で行うライブ」でもあり、「1周年を記念するライブ」であり、そして「ハニプラセンターのひなたと社本の誕生日に行われたライブ」でもあった。そんな記念尽くしのライブということから会場の空気は始まる前から十二分なほどに温まっていた。

ライブの開幕を告げるovertureが終わると、ステージのカーテンに照明が当たり、3人のシルエットが映し出される。その姿を見るや否や、会場のボルテージはこれでもかという程に上昇する。紗幕に映し出された3人のシルエットがあらわれると、会場には「どの曲でくるのか」と期待する空気が立ち込めていく。

期待の膨らみと反して、曲を聞き入るように小さくなっていく歓声……そんな静寂を打ち破るが如くドラムの轟音が響き渡り、会場は再び大きな歓声に包み込まれた。バンドによる演奏が行われる本ライブで、これ以上ふさわしいバンドサウンドの曲はないだろう。1曲目に選ばれたのは「Minus」だ。

本曲はハニプラ2年生組の3人(ひなた、鈴音、月)が歌うハードロックチューン。3人の真剣な眼差しと開幕を盛り上げるという勢いに、開始早々鳥肌が立つ思いだ。ライブが始まったという興奮が入り混じる会場をさらに盛り上げたのは「Minus」に負けないロックなチューンながらも「ロックさ」のイメージがあまりないひなた、ゆきな、ほたるが歌う「Toi et Moi」。2ndライブ夜の部「Bitter編」の開幕曲でもあった1曲が始まると、会場からは割れんばかりの歓声が上がる。

開幕から盛り上がる会場をさらに燃え上がらせたのは「Give Me Love」のイントロ部分で、月役の吉岡が放った「BLITZ! かかっておいで」という一言。そんな本曲では、スタンドマイクを使って吉岡、青野、金魚がクールなパフォーマンスを魅せる。吉岡は以前のインタビューで「3人の声がすごく良い」と語っていたとおり、3人の歌声がぶつかり合い、歌を昇華させていく。

激しめのロックが続き昂った会場の空気を一変させたのは1年生組の3人(ゆきな、ほたる、メイ)が歌う「Go Live!!」。アップテンポの本曲では、星を描くようなパフォーマンス、楽曲に負けないエネルギッシュなダンスを魅せる。特にラストのサビ前の息の合ったフォーメンションダンスにここまでの軌跡を感じ、感動を覚えた。

前半戦4曲を終えて、まだ全員曲は1度も歌っていない。「これがハニプラのライブだ」と言わんばかりのセットリストで前半戦を駆け抜ける。こういった構成から「音楽」へのこだわり、そして本当に楽しんでもらうライブにするためにはどうすればよいか、という運営・そしてハニプラメンバーの想いが伝わってくるかのようだ。

●表情、ダンス、衣装、すべてに物語がある

前半戦を終えるとメンバー一同がステージに登場し、「私たち『8/pLanet!!です』」の挨拶とそれぞれの自己紹介を行う。自己紹介では2ndライブから恒例となったコール&レスポンスも披露した。

自己紹介が終わると早々に舞台袖へと向かった青野・金魚が制服姿で青と赤のストールを巻いて再度登場。歌った楽曲は「Still. . .」だ。金魚は自身のブログで「音の杜学園の三年生という立場だからこそ普段はあまり弱音や思っている事を、口に出さない2人の強い思いを歌として、今回歌えた気がする」と本曲について語っていた。それほど思い入れがある曲を歌声だけでなく、表情やパフォーマンスで、想いを形にする。そして、同ブログにて「大事にしたい」と言っていたことは、歌の最後に手をギュッと握りしめた青野・金魚の姿にすべて凝縮されていた。

そんな熱い想いがこもっていた曲を歌った金魚は、制服を脱ぎ捨てボーイッシュな衣装へと早着替え。同時に社本が舞台へと登場し「Dive to the Future」を熱唱した。

本曲は、ひなたと杏梨のデュエット曲で、未来への希望を感じられる前向きな歌詞が印象的な楽曲。「杏梨が3年生としての苦悩と強さを訴えた楽曲」の次に「アイドルへの想いが人一倍強く、キラキラ輝くひなたと歌う本曲」が選ばれた……。その構成と先ほどの曲とは異なり笑顔で通す金魚からは、苦悩を越えて変化した杏梨らしさが感じられ、胸が熱くなった。

その後、会場をメルヘンな世界に包み込んだのは「秘密の部屋の女の子」。メンバーには有名動画配信者という裏の顔があるほたると、アンドロイドであることを隠すメイという「秘密」を持つ「ふたりらしさ」が詰まった本曲。

可愛さと共に物語性も感じられる振り付け、そしてネグリジェとパーカーという部屋着をイメージした衣装も相まって、ふたりの関係性と楽曲の世界観を見事に表現していく。

「秘密の部屋の女の子」が終わると会場にはキーボードが登場し、鈴音の声が鳴り響く。そして、ボリュームのあるドレスを着て登場した吉井は、鈴音のソロ曲「三日月どりーむ」を披露した。

本楽曲は、ピアノの旋律、星の煌きを表現しているように感じる音色、そしてタイトル通りに「夢見心地」な歌詞が特徴的な一曲。鈴音らしさが詰まった本曲を吉井はまるで「鈴音ちゃんならどう歌う?」とキャラクターに語り掛けているように、笑みを浮かべながら歌唱する。目をつぶるとまるで隣で鈴音が歌っているかのような錯覚を起こすほど、ふたりがシンクロしていると感じるパフォーマンスであった。

そんな心地よい時間を、楽しくもワクワクした世界へ変えたのは、ゆきなのソロ曲「ふわりあるたいむ」。ゆきなの大好物であるお菓子が散りばめられた衣装に身を包んだ和氣は、ポップで目まぐるしい本曲を可愛らしさ全開で歌唱する。

その姿は、普段はプロ意識が高いながらも、本来ははしゃぐのが大好きなゆきなそのままであった。なお、本楽曲の途中には、ゆきながTVの企画で考えたというキャラクター「そらまめくん」も登場。「そらまめくん」と一緒に横揺れしながら歌う和氣の姿も実にキュートだ。

ソロ曲後のMCでは、吉井・和氣がそれぞれソロ曲の感想を述べる。吉井はパフォーマンス中にハートのポーズを取っていた(命名:リンリンハート)こと、和氣は衣装に付いていた装飾の一部は澤田の母親が作成したものであるという裏話を披露する。ここまで何度か衣装チェンジをしてきたが、衣装一つ一つに物語があるのもハニプラの特徴。次からのライブでもぜひ注目していただきたいポイントだ。