音楽アプリゲーム『8beat Story♪』(エイトビートストーリ―)から誕生した声優ユニット「8/pLanet!!」(ハニープラネット)の1stライブ「先生!ライブはじまっちゃうよ!」が、2016年9月24日、渋谷のWWW Xにて開催された。

出演者は、桜木ひなた役の社本悠、水瀬鈴音役の吉井彩実、神楽月(あかり)役の吉岡美咲、橘彩芽役の青野菜月、姫咲杏梨役の金魚わかな、星宮ゆきな役の和氣あず未、源氏ほたる役の吉村那奈美、メイ役の澤田美晴。今回は、「8/pLanet!!」(ハニプラ)の活動で10曲以上歌うのが初めてとなった本ライブ昼の部についてレポートする。

左から澤田美晴、吉村那奈美、和氣あず未、吉岡美咲、社本悠、吉井彩実、青野菜月、金魚わかな。写真は昼の部の最後に撮った記念写真。本記事では昼の部の軌跡を紹介していく(公式提供写真)

『8beat Story♪』(エビスト)は、近未来の学園を舞台に、夢・目標を持つ女の子たちが仮想空間で行われるアンドロイドとの「音楽バトル」に挑むという、音楽アプリゲーム。そのゲームから誕生した「ハニプラ」は、メインキャラクター8人を演じる声優によって構成されたグループで、「ゲームに出てくる8人のキャラクターと、現実世界でも会える&ふれ合える」をコンセプトに活動している。

『8beat Story♪』メインビジュアル

本ライブは活動してからまだ4カ月ほどの「ハニプラ」にとって、初めて10曲以上も歌う本格的なライブイベントであり、ライブ前日までのTwitterの投稿・ブログを見ても各声優・運営から「ライブを必ず成功させたい」という想いが伝わってきていた。また、先生方(『エビスト』のプレイヤーのこと)からも、開演前から期待と併せて、「1stワンマンライブの舞台に立つ彼女たちを最後まで応援する」という並々ならぬ気迫を感じた。

そんな、期待と熱気で温まった会場の明かりが暗くなると、前面スクリーンに各キャラクターが「先生っ」と呼びかける映像が。そして、本ライブ公演のタイトルでもある「ライブはじまっちゃうよ!」の掛け声が終わると同時に、1stシングルに収録されていた楽曲「BoyFriend」のイントロが流れ始める。本曲は随所にクラップを入れる箇所があり、歌唱者のひとりである吉村も「ライブで盛り上がれる曲」とコメントしていた曲。まさにそのコメント通りの盛り上がりを見せ、温まっていた会場の空気をさらに熱くさせた。

このままの勢いで2曲目に突入かと思われたが、「BoyFriend」を歌った社本、吉井、金魚、和氣、吉村が一旦、舞台からはけ、各キャラクターの紹介VTRがスクリーンに映し出された。そして、VTRが終わると同時に、今度は1stシングルの表題曲「ファンタジア」のイントロが流れ、「ハニプラ」の8人が舞台へ姿を現す。「ハニプラ」全員の登場に、まだ2曲目にも関わらず会場のボルテージはクライマックス寸前まで高まりを見せた。特に曲中に出てくる「ワン、ツー、スリー!」という歌詞では、会場が一体となり、割れんばかりのコールで応えていた。

「ファンタジア」が終わると、ここで、それぞれの自己紹介を兼ねたMCが設けられた。自己紹介は2年生のキャラクターを演じる社本、吉井、吉岡、続いて3年生の青野、金魚、最後に和氣、吉村、澤田の1年生組の順番で行った。それぞれが演じるキャラクター通りの挨拶をしていたが、なかでも吉村が行った、「ふにぃーっ!」のコール&レスポンスは、普段はローテンションながらスイッチが入るとハイテンションになるという、ほたるを見事に体現していた。

8人全員の挨拶が終わり、続く3曲目に歌われたのは、「君はレモネード」。キラキラした歌詞とメロディーで奏でるアイドルソングを2年生組の3人で歌い上げた。と、ここまではリリースイベントなどでも歌われてきた3曲であったが、続く4曲目では、1stワンマンライブの時点で最新の曲であった「Count It Down」が初めて披露された。先ほどまでのアップテンポと打って変わり、サイバー感のあるポップな本曲で特に目を引いたのは青野、金魚、吉村、澤田の息の合ったダンスと表情。歌だけでなく、ダンスなどのパフォーマンスにもこだわる「ハニプラ」の魅力がひしひしと伝わってくる一曲であった。

「Count It Down」の後には、青野、金魚、吉岡、和氣の4人が舞台に登場。青野(彩芽)・金魚(杏梨)と吉岡(月)・和氣(ゆきな)チームに分かれて、代表者1名が『エビスト』を実際にプレイし、点数を競い合うゲームコーナーが行われた。プレイする楽曲に選ばれたのは、本ライブ3曲目に歌われた「君はレモネード」のEXPERT。勝利者チームは、それぞれの限定楽曲が配信されるということで両チームとも張り切ってゲームに臨んだ。

まず、先攻でプレイしたのは和氣。プレイ前に「ゲームは苦手」と答えていたが、実際のプレイでは危なげなくEXPERTのレベルをクリアしていた。続いて、以前インタビューで電子機器があまり得意ではないと語っていた金魚がプレイ。和氣がつまずいた難しいパートを華麗に突破したものの、点数では和氣のほうが上まったため、ここで勝負あり。結果、吉岡(月)・和氣(ゆきな)が2人で歌う限定楽曲「先手必勝スマイル」が配信されることとなった。

ゲームコーナーの後は、生徒会長でもある彩芽役の青野が、ライブの注意事項をこのタイミングで読み上げる。最初はタイミングのことばかりに気を取られていたが、この注意事項を凛として読み上げた青野は、彩芽そのものであると感じられたワンシーンでもあった。続けざまに、キャラクター8人が総出演する本会場限定ドラマが繰り広げられ、そのままの流れで5曲目「スクールディスコ」へ突入。

本楽曲は曲名通りのディスコ調の楽曲で、先生と生徒のやりとりを歌詞に取り入れているのが特徴。「先生、トイレ~」「こらっ、先生はトイレじゃありません」といった「先生」コール&レスポンスも注目ポイントで、本ライブでも駆け付けた先生と「ハニプラ」による大合唱に近いコール&レスポンスが、会場中に轟いていた。

その後、社本、吉井、吉岡の2年生組とアンドロイド・メイを演じる澤田による「Shiny」が披露された。本曲はメイが初めて全体曲以外で歌った曲。澤田はMCでそのことについて触れながら、「普段、愛や恋がわからない子ですが、その分、曲に大好きだという気持ちを込めて歌っています」と、緊張しながらも精一杯の想いを先生方に伝えた。

澤田がMCを終えると、今度は和氣にMCのバトンが渡される。そして、「次に歌う曲はゆきなの成長を描いた曲です」という言葉に続き歌われたのは、「あの日の約束」。この曲で見せた和氣の表情からは、幼い頃に父親が出て行ってしまった寂しい気持ち、それでも大切なメンバーとパパみたいに優しくしてくれる先生と出会えたことで前を向いて歩き出せたという希望、そんなゆきなの気持ちが詰まっているように感じた。

8曲目に歌われた「Distance」は、『エビスト』で数多くの曲を担当する2ndlifecrewが作詞・作曲を手がけたバラード調の楽曲。吉井、吉岡、青野それぞれにソロパートがある一曲だったが、Aメロで吉岡のマイクが入らないというトラブルが発生。しかしながら、吉岡は不安そうな表情ひとつ見せずパフォーマンスを続行し、それに応えるように吉井、青野も歌を続けた。「ハニプラ」として場数を踏んできたわけでもない、ましてや今回が1stワンマンライブであるにも関わず、堂々とした彼女たちの姿には、「ライブを成功させる」という、ただただ強い気持ちがあふれていたように思えた。

7・8曲目とバラード調の楽曲が続いたが、9曲目は、さきほどまでの雰囲気とは一変し、疾走感あふれるメロディーの「初恋チェリーブロッサム」が披露された。入学~卒業までを表現した一曲で、1~3年生で構成されたメンバーが随所でソロパートが担当する。本ライブでは3年生の杏梨が歌う後半のパートで、彼女の気持ちを胸いっぱいに込めて大切に歌いあげている金魚の姿が非常に印象的だった。

「初恋チェリーブロッサム」が終わると、舞台上に「ハニプラ」全員が再登場。まずは吉井が、まだ4カ月しか経っていないコンテンツにも関わらず、多くの先生方に応援していただいていることへの感謝を述べるとともに「私たちももっともっとこの作品とユニットを大きくしていきたい」というこれからの活動への想いを言葉にした。その後、社本が運営、メイク・衣装スタッフ、さらにライブに来てくれた先生、ライブにはこれなくても応援してくれているすべての先生方へ向けて、「みんなのことが、大好きです」と思いのたけを込めた言葉を口にした。

そして、2人の挨拶が終わると、本ライブ最後の曲「Blue Moon」が披露された。「大好きだよ これからもずっとよろしくね」「ありがとう 共に進もう輝く未来へ」といった前向きな歌詞の本曲は、これからさらなる進化を見せてくれるであろう、彼女たちの1stライブを締めくくるのにふさわしい一曲であった。

「Blue Moon」を歌い終えた後も、「もう少し彼女たちの頑張りをみたい」、そんな想いを持った先生方からのアンコールが鳴り響く。そんな想いに応えて「ハニプラ」のメンバーがライブTシャツに衣装チェンジして登場。アンコールでは、「Lovely Summer」を熱唱した。サビ部分の「ワンツースリー」などをはじめ、ライブで大いに盛り上がれる本曲を「ハニプラ」全員が全力で、そして笑顔で歌い上げ、熱気が冷めぬままにライブは終演を迎えた。

コンテンツ誕生から約4カ月。リリースイベントからさほど時間が経っていなかったにも関わらず、ここまでライブが盛り上がったのは、彼女たちや運営の努力と想い、そして先生方の応援があったからだろう。しかし、ここが彼女たち、そして『8beat Story♪』の到達点では決してない。もっともっと高みが見られる、胸を熱くしてくれる、そんな期待が持てるライブでもあった。

なお、本ライブ夜の部では、新曲「Halloween☆Night」がアンコールで披露された。また、ゲーム中で新衣装が追加されること、10月1日から毎日1話ずつキャラクターストーリーが追加されること、本ライブのDVD化、10月から3カ月連続でシングルCDが発売すること、さらには11月からWebで「ハニプラ」の冠番組が配信されることなど、盛りだくさんの情報が発表された。破竹の勢いで様々な展開を見せる『エビスト』と「ハニプラ」。次は一体、どんな展開で驚かせてくれるのだろうか。

新曲に併せてハロウィーンの装いで登場した「8/pLanet!!」(公式提供写真)

「8 beat Story♪ 8/pLanet!! 1st LIVE ~先生!ライブはじまっちゃうよ!~」セットリスト

M-01 BoyFriend 社本、吉井、金魚、和氣、吉村
M-02 ファンタジア 8/pLanet!!
M-03 君はレモネード 社本、吉井、吉岡
M-04 Count It Down 青野、金魚、吉村、澤田
M-05 スクールディスコ 社本、吉井、金魚、和氣、吉村
M-06 Shiny 社本、吉井、吉岡、澤田
M-07 あの日の約束 社本、吉井、和氣
M-08 Distance 吉井、吉岡、青野
M-09 初恋チェリーブロッサム 社本、吉岡、金魚、和氣、吉村
M-10 Blue Moon 8/pLanet!!
【ENCORE】
M-11(昼の部) Lovely Summer 8/pLanet!!
M-11(夜の部) Halloween☆Night 8/pLanet!!

Photo=西田航(WATAROCK)、河邉有実莉(WATAROCK)

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