人間が乗れる変形ロボットがついに完成
ロボットと自動車の変形が可能という、まさに"リアルトランスフォーマー"と言える「J-deite RIDE」(ジェイダイト・ライド)の試作機が完成、プレスに公開された。これは、BRAVE ROBOTICS、アスラテック、三精テクノロジーズが共同で開発したもの。身長は約4mという巨大ロボットで、人間が2名搭乗することが可能だという。
J-deite RIDEは、2足歩行が可能な人間型(ロボットモード)と、車輪走行が可能な自動車型(ビークルモード)の変形が可能。現在の仕様では、ロボットモード時には100m/hで歩くことができ、ビークルモードになると60km/hでの高速走行を行うことができるという。関節数は、腰1、脚4×2、腕4×2、手先8×2、頭3などで合計49。
J-deiteは、巨大変形ロボットの実現を目指し、BRAVE ROBOTICSの石田賢司 代表取締役が開始したプロジェクト。2014年には、まず1/4サイズ(身長1.3m)の「J-deite Quarter」を開発しており、今回のRIDEは、その大型版となる。変形の構造などは、基本的にQuarterから変わっていないという。
ただ、大きな違いは、人間が搭乗可能になったことだ。無人なら機体が壊れるだけで済むが、有人だと命に関わる。安全性の確保が大きな課題となり、その解決には苦労したそうだ。ダミー人形を使った試験なども行ったという。
ロボットの制御にアスラテックの「V-Sido」を採用
制御ソフトには、Quarterと同様に、アスラテックの「V-Sido」が使われている。V-Sidoは、小型ロボットから大型ロボットまで、一貫して扱えるというのがウリであるが、RIDEはV-Sidoにとって、過去最大の2足歩行ロボット。未知の領域であったが、アスラテックの吉崎航チーフロボットクリエイターによれば、基本的なアルゴリズムは何も変わっていないとのこと。ただ、位置決めの精度を高くするため、アクチュエータは産業ロボット用の電動モーターを使ったそうだ
今回のデモでは、変形のほか、足踏みのモーションが披露された。RIDEは、搭乗した人間による直接操縦のほか、外部からの遠隔操縦にも対応しており、足踏みは無人で行われたのだが、有人での歩行も試しているという。吉崎氏によれば、「乗り心地はそれほど悪くなかった」そうだ。
将来はアミューズメント施設で搭乗可能に
三精テクノロジーズは、今後、RIDEで開発した変形技術を活用し、アミューズメント施設向けに、変形ロボット型の遊戯機械の開発を進める。形態としては、「変形するゴーカート」や「園内パレードでの変形デモンストレーション」などを想定。具体的な形については今後検討していくが、RIDEをほぼそのままの形で量産化する可能性もあるという。
三精テクノロジーズは、テーマパークの乗り物や、劇場の舞台機構などを手がける企業。日本で最初にジェットコースターを作ったのも同社で、世界の主要なテーマパークに導入しているという。
各地のテーマパークとの商談の中で、5~6年前に、まさにこのような変形ロボットを「導入したい」という声があったそうだ。当時は技術的にも「難しい」と断るしかなかったが、その後、テレビの番組内で石田氏と吉崎氏と出会い、同社側から共同開発をアプローチしたという。
導入する施設や時期などは未定だが、同社の大志万公博・代表取締役副社長は「大勢の人に乗ってもらうことになるので、安全・安心はこれまで以上に留意して開発する必要がある」と指摘。これらの課題がクリアでき次第、実用化する意向を示した。
一般への初お披露目は5月5日のツインリンクもてぎ
今後のJ-deiteのロードマップであるが、これには大きな変更があった。Quarter発表時の計画では、身長3.5mのRIDEを作った後で、5mクラスで搭乗可能な"本物"のJ-deiteを開発することになっていたが、RIDEが少し大きくなり、搭乗して変形できるようになった結果、ある意味、前倒しで"本物"を実現してしまった。
石田氏は、「ロボットと言えば、人が乗って、変形、合体、飛行するもの」と断言。今回のRIDEで、「乗る」と「変形」は実現できたので、今後は、「合体」と「飛行」に挑戦したいと意気込みを述べた。
RIDEの一般へのお披露目は、ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)で開催される「ゴールデンウィーク ドキドキフェスタ」になる見通し。この中の「働くクルマ大集合!!」にて、5月5日限定で登場するとのことなので、気になる人はチェックしよう。