最後にStoreMIについてもちょっと試してみた。今回のテスト環境は、ブートドライブがIntel SSD 600p 256GBで、こちらはNVMe SSDだからいまさら高速化しようがない。ただデータ&Steamのダウンロード用にWD Green 2TBをつないであり、こちらは言うまでもなく遅い。そこでこれをどこまで高速化できるかを試してみた。
幸いROG STRIX Z370-F Gamingには、2つ目のNVMeスロットが用意されている。そこでここに2つ目のIntel SSD 600p 256GBを装着、これをWD Green 2TBと組み合わせて高速化しよう、という目論見だ。
初期状態はIntel 600pは1枚(Photo44)、ドライブはSSDがC:、WD Green 2TBがD:である(Photo45)。とりあえずデータは436GBほど入っている(Photo46)。
この状態でIntel 600pをもう一枚追加して(Photo47)からStoreMIをインストール。その後、Store MIでWD Green 2TBとIntel 600pを組み合わせる(Photo48,49)。処理は数分で完了し、一見ドライブそのものは前と変化が無い(Photo50)。
ちなみにStore MIではDRAMの一部(最大2GBまで)をキャッシュ専用に割り当てることも可能で、これを後から変更もできる(Photo51)。また開放したいときにはやはりツールから"Convert To Single"を選べば、元の状態に戻せる(Photo52)。
ということで、このStore MIによる性能改善がどの程度か、をちょっと確認してみた。方法としてはPCMark 8のStorage Test 2.0を利用し、以下の4パターンを試した。
- 素のWD Green 2TB
- 素のIntel SSD600p 256GB(こちらはNTFSでパーティションを切って利用)
- Store MIによる組み合わせドライブ
- Store MIに2GBのDRAMキャッシュの組み合わせ
グラフ86はOverall Bandwidthである。素のWD Greenだと6MB/secという数字もなかなか情けないが、これはアプリケーションからのランダムアクセスを前提とした数字で、シーケンシャルアクセスではないからこんなものだろう。
素のIntel SSD 600pだと300MB/secを叩き出している。昨今はもっと高速なSSDもあるが、とりあえずWD Green 2TBに比べれば50倍速い。ではStore MIは? というと、単純に組み合わせると40MB/sec弱、2GB DRAM Cacheと組み合わせると48MB/secほどで、10倍とは言わないものの結構な帯域改善に繋がっている。
以下アプリケーション別に。PCMark 8自身が結果を所要時間で示しているので、ここからはグラフが長いほど遅いことになる。Adobe系4製品5パターン(グラフ87)で言うと、WD Green 2TBをIntel SSD 600pに変えることで所要時間が半減~3分の1に減る。これに対し、Store MIでは軽い処理(AfterEffect~InDesing)だと半分、Photoshopだと3分の2程度。2GB DRAMキャッシュも組み合わせると、さらに効果的(Photoshop Lightですら半減)である。
グラフ88がMicrosoft Office系で、こちらは素のIntel SSD 600pでなくStore MIにするだけで半分~3分の1に反応時間が減る。なかなか優秀な結果だと思う。逆にDRAMキャッシュは、もちろん使うと性能は改善するが、その差はそれほど大きくないといったところ。
最後はGames(グラフ89)で、特にBattlefield 3におけるロード時間削減には大きな効果がある。逆にWorld of Warcraftでは、効果はある(ほぼ待ち時間が半減)ものの、比率としてはBattlefield 3ほどではないといったところ。
簡単なテストではあるが、それなりに性能向上の効果があることが分かった。ただし、その効果は一律ではなく、アプリケーションによって差が出ることが確認できたと思う。また機会があれば、ではSATA SSDだとどうか? といったことも確認してみたいと思う。とりあえずM.2 SSDの余りがあるなら、設定しておくのは悪いことではなさそうだ。