今回のメインとなるサービスが、法人向けの「IIJモバイルサービス/タイプI」だ。同社はドコモ回線の「タイプD」、KDDI(au)回線の「タイプK」を展開しており、今回は「IIJ回線だからタイプI」というわけだ。前述の通りデータ通信のみとなり、音声通話は利用できない。

フルMVNOであるメリットとしては、SIMの「ライフサイクル管理」機能が挙げられる。例えばIoT向けに回線を引きたいが、実際に通信するのは数カ月に1回程度なので、毎月の維持コストが高い回線は利用しにくいというケースがある。「ライフサイクル管理」ではSIMを「アクティブ」(開通)と「サスペンド」(中断)に切り替えられる。SIM購入後、アクティブにするまでは維持費がかからず、一度アクティブにしても途中でサスペンドすれば、その間は月額30円/回線まで費用を低減できる。

たとえばSIMをまとめて購入しておくがアクティブ化せずに保管しておき、出荷する在庫に組み込み、顧客が購入時に必要に応じてアクティベートしていく。あるいは、夏の間だけ使用し、秋から春まではサスペンドで乗り切る、という使い方も可能なわけだ。こうした管理のためのインターフェースも提供される。

  • たとえば水位管理センサーに組み込めば、農閑期はサスペンドでコストをほぼゼロ近くに抑えられる。LPWA技術と組み合わせれば広大な田畑も低コストでの監視が可能になるだろう

通信プランは、回線ごとにデータ通信量が設定されている「定額プラン」と、複数の契約回線で分け合う「パケットシェアプラン」がある(具体的な価格については既報の別記事をご参照いただきたい)。また、上り通信のデータ通信量を制限しない「上り優先オプション」や、プランごとにIPアドレスのタイプ(ネットワークタイプ)を指定できるオプションなどが用意される。なお、価格は基本的に1回線での契約の金額であり、法人で大量に導入する場合などはボリュームディスカウントが受けられるとのこと。金額については契約の案件ごとに異なるので、価格面だけ見ての比較はあまり参考にならないだろう。

注意すべき点として、海外でのローミングサービスについては、現状で対応していない。SIMカード1枚でのローミングサービスについては6月をめどに発表したいとしている。