これまでの「無印α7」のつもりで手にすると絶対に驚く。まずは、10コマ/秒の連写を担うメカシャッターのキレの良さに。そして、動体に対するAF追従性の高さに。1コマ撮りをしているときやブラケット撮影時の、α9を凌駕するキレの良いレリーズ感触には、驚くというよりも笑ってしまった。α9のメカシャッター時の感触があんまりにもアレだからなのだけど、撮っているときの「写真を撮るためのカメラを使っているという前提における気持ちよさ」は、圧倒的にα7 IIIのほうが上なのである。

  • α7 IIIのシャッターユニット。従来モデル「α7 II」と比べて連写速度が大幅に向上しただけでなく、シャッターを切った感触も改善された。シャッター音や振動は、さまざまな低減の工夫を凝らしたα7R IIIのほうが小さい

似た感触を有するα7R IIIは、α9とともにEマウントαの両翼を担っている存在なので、ある面α9を上回っていても納得できるし実際、海外を含めα9を食ってしまっている面が多々あると聞く。これには、ソニーの中の人も人知れず頭を悩ませているらしいのだが、それにもめげず今度は「無印α7」に常識外れともいえそうな攻撃力を与えてきたのだからナニかがブッ飛んでいる。こういう場面で尻込みしないのが、いま現在のソニーの強さなんだろうな。自社製品を自社が設定したヒエラルキーの中にギチギチに当てはめなければ気が済まないメーカーとは真逆のスタンスが、とても熱いしジツに面白い。

  • 急速にラインアップを拡大しているフルサイズセンサー搭載のαシリーズ。下位モデルのα7 IIIが上位モデルのα9やα7R IIIを上回る部分もあるなど、ソニーの出し惜しみのなさが話題になっている