東京工業大学(東工大)は2月27日、NASAのケプラー宇宙望遠鏡による観測で取得したデータを解析し、さらに地上の望遠鏡での追加観測で、低温な恒星を周回する地球の3倍以下のサイズの太陽系外惑星を新たに15個発見したと発表した。
同成果は、東京工業大学理学院地球惑星科学系の平野照幸 助教、宮川浩平氏、佐藤文衛 准教授、同大の地球生命研究所(ELSI)の藤井友香 特任准教授らの研究グループによるもの。詳細は米国の学術誌「Astronomical Journal」に掲載された。
これまで見つかっている系外惑星の90%以上は太陽に似た星のまわりで発見されている。一方、私たちの銀河系に最も多く存在する恒星は質量が太陽の約6割に満たない低質量・低温の恒星(M型矮星)であるが、一般に暗いためにあまり探査が進んでいなかった。
研究チームは、NASAのケプラー宇宙望遠鏡が行っている探査ミッション「K2」で取得したデータを解析し、惑星が恒星の前を通過して食を起こす(トランジット)手法で、惑星候補を持つ低温な恒星(M型矮星)を数十個同定した。
また、それら惑星候補を持つ星々に対して、ハワイのすばる望遠鏡、スペインの北欧光学望遠鏡、岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡などを用いた地上からの追加観測を実施し、新たに10個の低温な恒星を周回する計15個の惑星を確認した。
特に明るいM型矮星であるK2-155のまわりには3つのスーパーアースが見つかり、このうち一番外側の惑星K2-155dは惑星と恒星が適度に離れているため、表面に液体の水が存在する可能性があることが分かったという。
さらに、これまでよく分かっていなかった低温な恒星を周回する惑星についてその特徴を調査したところ、惑星半径など太陽に似た恒星を周回する惑星の特徴とよく似ていることが分かった。
なお、今回の成果を受けて研究グループは、K2ミッションは進行中で、今後も多くの低温な恒星でトランジット惑星が見つかると期待されるとしている。