Walters氏はDatrium DVXの特徴を次の3つにまとめる。

1)アプリケーションの近くにデータをおく
2)サーバをステートレスにし、同時にデータを安全に
3)クラウドのようなインフラ

1)はData Nodesにより、データのコンテンツをサーバの近くに置くことができる。2)と3)は特に重要だ。サーバをステートレスにすることで、他のサーバ、そしてアプリケーションに影響を受けない状態を実現できる。それだけでなく、「ステートレスと両立が難しいデータの安全化を同時に行う」とWalters氏は強調する。「ITインフラ全体を考えると、ステートレスがもたらす隔離とか独立といった特徴は重要」という。3)では、コンピュートとメモリを必要に応じて水平、垂直の両方向に柔軟に拡張できる、とのことだ。

特徴はそれだけではない。DVX Host Softwareでは上記のエンドツーエンドの暗号化を備えるが、「DVX内部で行き交うデータは全て暗号化される」とWalters氏、つまり、使われているデータ、移動中のデータも全て暗号化される。暗号化に加え、重複排除、圧縮などの機能は全て、常時有効になっている。

「ユーザーインタフェースで管理者が各機能をオンにしたりオフにしたりするというのは間違っている。性能や安全性をユーザーが決定するのではなく、我々はプロとして常時オンの状態で提供する」とWalters氏、これによりユーザーはシステムの振る舞いを予測できるようになるという。

常時オンに加えてWalters氏が強調するのがオープン性だ。

「ブレード、ラックマウントなどなんでも使える。異なるベンダー、さらには世代にまたがったサーバ上でも動く」とのこと。このようなオープン性、そして「1コンピュータノード/1データノードから10データノード/128コンピュータノード/1.7PBのデータ容量を1つの名前空間で管理できる」(Walters氏)という拡張性は、HCIで先行している米国で見えてきた課題を解決するという。

「例えば16台以上になるとHCIは使いにくい。コンピュートと容量を同時に増やさなければならないが、CPUコアの数、メモリなどを同じように設定するのが難しくなるからだ」とWalters氏はいう。

デイトリウムジャパン 技術担当副社長 首藤憲治氏(2月14日の発表会にて)

デイトリウムジャパンの技術担当副社長、首藤憲治氏も「HCIはデータを”あい持ち”するので、複数ノードになると性能がスケールする。だがDatriumはステートレスでデータをあい持ちしないので性能が伸び、同時にデータの安全性も保たれる」と付け加える。

日本のHCIこれから、そこにチャンスがある

Datriumは設立当初描いていたこれらの機能を2017年にほぼ完成させた。すでに米国政府機関、Abacus Group、Altair Globalなど多数の顧客を抱えているが、2018年は国際展開の年とする。日本では2016年よりノックスが代理店となりDatrium製品を提供しているが、今回デイトリウムジャパン合同会社を立ち上げた。

日本は最初のフォーカス市場となるが、HCIがこれからという市場の状態にチャンスを感じているという。

「米国では様々な顧客がHCIを使ってみて、どこまで使えるのかの限界、どのようなアプリに適しているのかなどがわかってきた。日本はこれからで、そこにチャンスがある」とWalters氏が言えば、首藤氏も「日本におけるHCIはまだ小規模にとどまっている。だが米国では規模を拡大させるにあたっての課題が見えており、その段階になる前にDatriumを紹介したい」と述べた。

日本法人の代表は、これまでティントリジャパンを率いてきた河野通明氏が務める。Datriumのソリューションを知って「仮想化の時代を変える力がある製品。感動を覚えた」という河野氏は、「コンピューティングの概念が大きく進化している」とDatriumを形容する。日本でも数台が評価中だが、まだ運用環境で動いているところはないとのこと。今回の合同会社設立によりサポート面が整うことで一気に弾みがつくとみる。「まずは、こういうコンセプトの製品があることを日本市場に知らせたい」と抱負を語った。

  • デイトリウムジャパン 代表執行役員社長 河野通明氏