Lenovoは米ラスベガスで開催されたCESに合わせて、最新プロセッサを採用したWindowsタブレット、Googleアシスタント搭載のホームディスプレイデバイス、VRヘッドセットに加えて、モトローラ製のスマートフォン「Moto Z」の拡張モジュール「Moto Mods」2製品を発表した。
注目すべきはこれらのデバイスがそれぞれ、2018年のデジタルトレンドを示すものだということ。発表会を振り返りながらチェックしていこう。
医療領域まで踏み込んだバイタルデータを簡易計測できるMods
まずは「Moto Mods」。モトローラ製スマートフォン「Moto Z」シリーズと〝合体〟できる拡張モジュールシリーズで、これまでに10倍ズームカメラやプロジェクター、スピーカー、バッテリー、ゲームパッド、360度カメラなどがリリースされている。
モトローラはさらにそのラインナップを広げるため、2017年にクラウドファンディングのINDIEGOGOと協力して「Transform the Smartphone Challenge」と題したコンテストを開催。開発者からアイデアを募り、サクセスした2つの製品を商品化する。
1つは99ドル今月末から発売されるスライド式のQWERTYキーボード「Livermorium Slider Keyboard」。もう1つは1台で5つのバイタルデータを計測、モニターできるプラットフォームを提供する「Vital Moto Mod」だ。
CESでは例年数多くのヘルスケア製品がリリースされているが、近年は従来の運動量、睡眠、心拍数といったデータに加えて、血圧や血糖値、心電図など、医療領域に踏み込んだデータを取得できるデバイスも増えている。
「Vital Moto Mod」もまさにそうで、指を使った血圧の簡易計測が可能なほか、血中酸素濃度、呼吸数、心拍数、体温の5つのデータを取得できる。国によって許認可の必要な製品となるため発売は今春以降で、予定価格は395ドルとなっている。なおINDIEGOGOでは、2018年も引き続き「Transform the Smartphone Challenge」を開催予定だ。
Snapdragon搭載、LTE対応Windows 10 Sタブレットを発表
続いて発表されたのは、クアルコム製のプロセッサ「Snapdragon 835」を初採用し、LTE接続と20時間もの長時間バッテリー駆動を実現した12.3型の2-in-1Windowsタブレット「Miix 630」。
OSはMicrosoft Storeで販売されるデスクトップアプリのみ使用可能な「Windows 10 S」で、価格はペンとキーボードカバー付きで799.99ドルから。発売は2018年第2四半期を予定している。
発表会にはクアルコムとマイクロソフトの担当者も登壇。クアルコム、プロダクトマーケティングチームのドン・マグワイア氏は、長時間バッテリーなど、PCをスマートフォンのように使えるSnapdragonのメリットをアピールした。
同プロセッサを採用するWindows機は、すでにHPやASUSからも発表されていて、2018年の注目デバイスとなることは間違いない。なお「Miix 630」は、購入後180日以内であれば、「Windows 10 Pro」への無償アップグレードも可能だ。
スマートスピーカーにディスプレイが付けばさらに便利に!
家庭向けのデバイスでは、Googleアシスタント搭載し、それぞれ8型と10.1型のフルHD ディスプレイを備えた、「Lenovo Smart Display」2機種が発表された。価格は10.1型が249.99ドル、8型が199.99ドルで、今夏発売予定だ。
OSには、AndroidのIoT向けOS「Android Things」を搭載。音声操作に連動して画面を表示し、タッチ操作もできるが、スマートフォンのようなホーム画面はなく、アプリの追加などもできない仕様になっている。
発表会にはGoogleからGoogleアシスタントを担当するスコット・ハフマン氏がゲスト登壇。Googleアシスタントを搭載したスマートスピーカーは非常に優れているが、たとえばレシピや地図ルートのように音声で説明されるより、視覚的な情報で見た方が便利なものもあると説明した。
Amazonもすでに「Amazon Echo Show」や「Amazon Echo Spot」をリリースしているように、スマートスピーカーとディスプレイを組み合わせた製品は新たなトレンドになりつつある。デモも見る限り、「スマートディスプレイ」の音声と資格情報の連携は実にスムーズで、使いやすそうだと感じた。
なお、2017年のCESでは、家庭向けのデバイスとしてAmazon Alexa搭載のスマートスピーカーを発表したLenovo。同様に2017年のCESでは目立っていた「Amazon Alexa」が2018年は姿を潜め、会場内でも圧倒的によく見かけたのは「Googleアシスタント」だった。
今回はGoogleがCESに本格参加したこともあり、単純には比較できないが、Googleアシスタントが攻勢を強めているのは間違いない。
スタンドアロン型のDaydream対応VRヘッドセットが初登場
最後に発表されたのは、スマートフォン不要でスタンドアロンで楽しめる、GoogleのDaydreamプラットフォーム対応のヘッドセット「Lenovo Mirage Solo」と、180度の立体映像が撮影できるカメラ「Lenovo Mirage Camera」だ。
スタンドアロン型VRヘッドセットは、Googleが昨年の開発者向けイベント「Google I/O 2017」で予告されていたほか、HTC Viveでも発表済み。さらにOculusからもリリース予定と、今年注目のデジタルトレンドのひとつだ。
「Lenovo Mirage Solo」は、前面搭載のカメラで位置をトラッキングできるインサイドアウト方式の「WorldSense」技術を世界で初めて採用する。空間を認識して動けるのが特長で、操作は「Daydream View」と同様に手元のコントローラーで行えるようになっている。一方の「Lenovo Mirage Camera」では、2つのカメラを使って立体感のある映像の撮影が可能。自分の見た世界をリアルに記録できる。
発表会には「Google I/O 2017」でスタンドアロン型VRヘッドについて予告した本人でもある、GoogleのVR/AR担当のクレイ・ベイバー氏が登壇し、スタンドアロン柄ヘッドセットとカメラの組み合わせによって、子供のイベントを祖父母である両親にVRで共有するなど、体験の共有が簡単にできると説明した。
なお「Lenovo Mirage Camera」では、4KビデオとYouTubeの「VR180」フォーマットに則った180度のVR映像を同時に撮影可能。360度カメラのように手や顔が大きく映るようなゆがみもなく、撮影できるという。
価格は未定だが、「Lenovo Mirage Solo」は400ドル以下、「Lenovo Mirage Camera」は300ドル以下の価格帯を想定しているとのこと。2018年第2四半期の発売が予定されている。