Face IDで他の人の顔でロック解除される可能性は100万分の1としている。これはTouch IDの5万分の1よりも大幅に低い誤認識率であり、Touch IDからFace IDへ移行するセキュリティ上の意義を端的に表してる。ただし、成長過程の13歳以下の子供の場合、双子や兄弟でも認証されてしまう可能性があると、前述の文書に説明があった。
しかし米国では、このFace IDのモデル作成ついて、議論が起きた。The Next Webは、AppleがFace IDのアルゴリズムを作り上げる際に、そのモデル作りの元のデータとなった人種多様性についての情報を開示していない、と指摘したのだ。
この背景には、テクノロジーが多様性への配慮に欠けているというそもそもの問題がある。例えば、絵文字は日本で生まれたが、それを採用したiOSでは長らく、人の絵文字の肌の色は一色だったし、親子の絵文字も異性同士の親の絵文字しか用意されていなかった。記事での指摘は、どのような人種の配分でモデルを作ったかによって、人種ごとの認識率やエラーレートに差が出る可能性があるのではないか、というものだ。
Face IDの仕組みから考えると、おそらくスキントーンによる認識率の変化は最小限に抑えられることが予測できる。ただ、アルゴリズム上の問題については、世界中の人々にFace ID対応デバイスが行き渡らなければ、Appleにも分からないことといえるかもしれない。