とはいえ、紙で購入するケースがまったくゼロかというとそうではなく、例外もあります。例えば、映画やアニメなどのムック本は、上記ルールの例外扱いにしています。近年で言うとハードカバー上製本の「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」などがそれに当たります。

これらメディアミックス系の出版物は発刊のタイミングが重要であることに加えて、プレミアム感を出すためには分厚い紙の本であるべきという考え方は、当然認められるべきかなと思います。また内容的に、スクリーンショットなどによってページ単位で複製されるのを防ぎたいという、コンテンツ保護のためのやむを得ない事情もあるはずです。おそらく前述の「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」などは、電子化という選択肢は、発刊時の議題にすら上がっていないのではないでしょうか。

  • シン・ゴジラ

    「ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ」。百科事典と変わらぬボリュームで電子化はまず困難ですが、場所を取らず保管できるという電子化のメリットがもっとも大きそうな出版物だけに悩ましいところです

これに加えて、判型が大きいことから、たとえ電子版が刊行されても読むデバイスがほぼ皆無という、読書環境の側の問題もあります(12.9インチiPad Proでもサイズ的にはほぼ同等かそれ以下でしょう)。そうした理由で、こうしたメディアミックス系の出版物については、前述の方針の対象外としています。もっとも、通常の本に比べとびぬけて重くかさばるのは事実なので、将来的に自前でスキャンして体積をなくす可能性はありますが……。