ホームボタンに割り当てられていた役割は短いフリックによって代替され、使い勝手に於いてはシンプルさ、スピード、ともに申し分ないという印象だ。しかしホームボタン2度押しに割り当てられていたアプリ切り替え画面の操作には、若干の違和感を覚えている。

まず、アプリ切り替え画面の表示は、下から上にフリックする際、指を画面の上に乗せたままにしなければならない。触覚フィードバックが返ってきたら、アプリ切り替え画面が表示されるという仕組みだ。そのフィードバックを待たずに指を離すと、通常のフリックと認識され、アプリ切り替え画面にはならない。ここは一瞬待つ、というのが必要なのだ。このコツを会得するには、さほど時間を要さなかったが、次が問題だ。

これまで、ホームボタン二度押しでアプリ切り替え画面を表示させ、アプリを下から上にスワイプすれば、強制終了が可能だったが、下から上のフリックがホームボタンの役割になったことから、アプリ画面を長押しして編集可能にしなければ、スワイプ操作での強制終了ができなくなった。ここは、使い始めてから1週間たっても慣れない操作となっている。

Appleとしては、あまりアプリは強制終了する必要がない、パフォーマンスに影響しない、というスタンスだ。しかし、寝る前や暇なときにアプリを一旦全て終了させてまっさらな状態にする習慣がある筆者からすると、スワイプ操作のみでのアプリ終了もジェスチャーに追加して欲しいところではある。ホームボタンがあったデバイスでは、アプリ切り替え画面を表示させれば、アプリの画面を下から上にスワイプして終了させることができていた。その経験を引き継げない点が、難しさを大きくしている。

Appleがなぜ単なるスワイプでアプリを終了させないようにしているのかについては、理解できる面もある。

iPhone Xでは画面下部からのフリックをホームボタンを押し込む役割に割り当てている。これと同じ動作がマルチタスク画面のアプリ終了に以前は割り当てられていた。そのため、より上位に位置するホームボタンの代替としての下から上のフリックを他で利用することで生じる混乱を避けた、と推測される。

アプリの強制終了の方法も変更されている

しかしながら、ホームボタンがあった頃から「アプリ終了は下からのスワイプ」で慣れているのもあるが、アプリ切り替え画面は通常のコンテクストとは異なる点から、前述のようにジェスチャーの重複を避けなくても、混乱は生じなかったのではないか、と考えている。ちなみに、アプリ切り替えは、画面下部を左から右にスワイプしても可能だ。2つのアプリを頻繁に切り替えながらの作業を行う際には、こちらの方が便利だ。