Appleは、世界一働き者のボタンであるホームボタンを、ジェスチャーとサイドボタンに上手く振り分け、ホームボタンがない全面ディスプレイのiPhoneの実現し、操作の整合性を維持できた。ジェスチャーによる操作はホームボタンのそれと同等か、より素早い操作が可能となっており、十分になれていくことができるという感触を掴めた。

しかし米国では最長10年間、日本では9年間、iPhoneを使い続けてきた人にとっては、iPhone Xのホームボタンがない体験に慣れるまで、時間がかかってしまうかもしれない。

実際、筆者も、無意識にポケットの中でiPhone Xの下腹部を押し込みながら取り出してしまうことが何度もあり、改めてそれがないことを意識しなければならないほどに、iPhoneのホームボタンに慣れ親しんできたことを思い知った。

新しいインターフェイスが好きな人は意識してすぐに慣れるかもしれないが、ホームボタンなしのiPhoneの操作を会得するまでに時間がかかる人も少なくないのではないだろうか。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura