iOS 11は2017年6月に開催された「WWDC 2017」で発表され、開発者や登録した一般ユーザー向けのプレビューが行われてきた。iPhone 5s以降のiPhoneシリーズ、iPad Air以降のiPadシリーズ、iPad mini 2以降のiPad miniシリーズ、iPod touch(第6世代)で利用可能で、対応機種では無料でアップデートできる。
iOS 11でAppleが特に強調しているのは、「iPad向け最大のリリース」であるということ。今回、次回は、iPad Pro 10.5インチとiOS 11の組み合わせによるiPadの進化について、実際にiPadのみで仕事をしながら考えていきたい。
ちなみに今回の原稿は、iOS 11にアップグレードしたiPad Pro 10.5インチと、愛用しているテキストエディタアプリ「Ulysses」、iOS標準の「メモ」、アウトライン編集アプリ「CloudOutliner 2」を組み合わせて作成している。ワークフローについては、次回紹介する予定だ。
Appleは2015年11月にiPad Pro 12.9インチをリリースし、iPadをクリエイティブの道具としてプロユーザーに訴求した。そのツールとなったのが、白いシンプルなデザインが特徴のApple Pencilだった。Apple Pencilは先端の筆圧検知と傾き検知が可能な、非常に高速に反応するスタイラスだ。初代iPhone発表時、Steve Jobsは「誰がスタイラスなんて欲しいんだ?」と指で直接操作するマルチタッチディスプレイを紹介した経緯があるが、こういった製品をAppleが投入してきたのはなかなか興味深い。一方で、Macに対しては、タッチディスプレイやスタイラス利用を標準化することを避け、MacとiPadを明確に区別してきた。
対してSamsungは、GALAXY Noteシリーズで、大型のスマートフォンについて、ペンでの操作を持ち込んでいる。またMicrosoftは、Surfaceシリーズで、PCを積極的にタッチ対応させ、スタイラスも導入した。Surface Penは性能にも定評があり人気の理由となっている。
iPad ProとApple Pencilの組み合わせは、スマートフォンもしくはファブレット市場、そしてPC市場に対するAppleなりの答えであり、iPadのAppleにおけるラインアップの位置づけを明確にする象徴的な存在が、Apple Pencilとなるのだ。iOS 11では、Apple PencilがiPad Proを使う上で、より重要なツールに位置づけられ、iPad Proを選ぶ大きな動機付けを生み出している。今回はiOSで標準的なApple Pencil活用について、ご紹介していこう。