中国が一番? 生活とスマートフォンの関係

Jim Xu氏 : モバイルネットワークの発達と活用では、中国が一番ではないでしょうか。自分の生活は、すべてがスマホとつながっています。朝のランニングではスマートウオッチを身に付け、そのデータはスマホを通してクラウドに記録されます。

それから出社しますが、自転車を使うことが多くなりました。中国の都市部では「シェアサイクル」が浸透しています。スマホでQRコードをスキャンすることによって、簡単に、楽に、安く自転車を借りられます。

モバイル決済もスマホです。中国ではAlipayやWeChat Payがありますが、財布を持たずに、どんな小さな商品、露天でも、スマホで支払えます。高価な買い物にはクレジットカードが欠かせませんが、あらかじめクレジットカード情報をスマホに登録しておけば、スマホの中のクレジットカードを使って買い物ができます。

また、プライベートで車を運転して、友人を尋ねるとしましょう。友人宅の近くに車を停めるとき、例えば3時間、パーキングに駐車するとして、スマホのアプリに「3時間で2ドル」と入力します。でも、予定より早くおいとまして、駐車が2時間だったとしたら、その分の料金が払い戻されます。これまで色々な国に行きましたが、こうした機能はない国が多いですね。

中国には「ゲーテッドコミュニティ」という、複数のマンションが一緒になってゲートで囲むようなコミュニティがたくさんあります。そこには共通の宅配ボックスみたいなものが設けられるのですが、これによって、中国のeコマースが非常に発展しているのです。しかも、ネットショッピングといえば、みんなスマホを使っています。

我々にとってスマートフォンは、ますます欠かせないものになっています。ファーウェイの社員がどのようにモバイルネットワークを使って、色々な生活の場面でどう活用しているのか、皆さんが中国に滞在している間に体験していただきたいと思います。

―― モバイルデバイス全体の課題に、電力消費とバッテリーの問題があります。電力の部分に関して、研究開発に投資していくような計画はありますか。

昨年、サムスンのバッテリーが燃えた件に関して、大きなショックを受けました。ふたを開けてみると、バッテリー本体ではなく、設計に問題がありました。また、安全性が十分にテストされていなかったのではないかと推測します。

我々も色々な教訓を得ていまして、当初はリコールまでに時間がかかった点がいけなかったのかなと思いました。この事件を受けて、ファーウェイでもいくつかの措置を取りました。バッテリーの調達と購買フロー、品質体系を見直し、安定性を重視したテストの再構築、アフターサービスの強化といったものです。問題が発生したときは、いち早くレスポンスできるように心がけました。

どんなイノベーションを起こしても、技術で先行していても、品質に落ち度があると大きな災難になりかねません。技術、デザイン、ユーザー体験に、まんべんなく取り組まなければいけないのです。ファーウェイのラボでは、生産の前にシミュレーションでテストします。問題なく生産できるかどうかをクリアしてから、実際に生産します。このような取り組みは中国ではほかに見られず、ファーウェイだけなのです。

―― AIに対応したチップセットを搭載したスマートフォンによって、世の中はどう変わっていくとお考えでしょうか。

Jim Xu氏 : このチップセットにはいくつかの主な機能があって、1点目としてNPU(ニューロン・プロセス・ユニット)を新たに作りました。ニューロンは神経細胞を指し、このNPUは、CPUとGPUの能力をさらに高めます。より速く、より省エネなスマホです。

2番目の特徴は、LTEのカテゴリ18に対応することです。ダウンリンクで1.2Gbpsのスピードを出せて、これは世界で最高速のチップセットといえるでしょう。

そして、自社開発したISPという人工知能に対応する製品があり、人工知能のプラットフォームを作りました。今後スマホの中で、カメラ機能や画像の識別でAI技術を使えるようになます。サードパーティーにも開放しているので、このチップセットを使ってAIに対応した色々なアプリを開発できます。実は10月に、最新のスマホ、Mate 10を発表しますので、そのときより詳しい情報を提供できるでしょう。

―― 先ほど、ネットワークとデバイスの両方を開発していることが、ファーウェイの強みというお話がありました。これから5Gの時代となりますが、5Gはスマートフォンをどのように進化させ、新しいことができるようになるのでしょうか。

Jim Xu氏 : 5Gは、日本がどの国よりも早く展開することになると思います。5Gになると、上りも下りも通信が高速になり、今まで以上にゲームや映画の視聴などが快適になるでしょう。また、自動運転の分野も、大きく躍進するのではないでしょうか。IoTとM2Mが広がって、キャパシティが増えると考えます。