Appleは9月12日に、クパティーノに新設したApple Park内にあるSteve Jobs Theaterでメディア向けスペシャルイベントを開催した。
LTE通信に対応したApple Watch Series 3、4K HDRをサポートするApple TV 4Kとキャラクターがしっかりとした新製品のリリースに続いて発表されたのが、待望の新型iPhoneである。今回は、iPhone 7シリーズの後継となるiPhone 8、iPhone 8 Plusに加えて、「次の10年を作っていく存在」として新たな要素がふんだんに盛りこまれたiPhone X(テン)の3機種が発表された。
iPhone Xについては10月27日に予約が開始され、11月3日に発売とアナウンスされた。
iPhone Xという最上位モデルが登場したことから、iPhone 8が「下位」であるという誤解を招きやすいが、実際に蓋を開けてみると、iPhone XはiPhone 8 Plusをベースにした派生モデル、という位置づけであることがわかる。それだけiPhone 8シリーズとiPhone Xの間には、共通の使用が多く存在しているのだ。
まず、処理能力や省電力性の要となるプロセッサは、3機種ともに、A11 Bionicが採用された。2つのパフォーマンスコアと4つの省電力コアの6コア構成で、A10 Fusionに比べてそれぞれ25%、70%の高速化を果たしている。
またグラフィックスはAppleによるデザインとされ、A10に比べて30%高速に動作し、A10と同じ処理を半分の消費電力で実現する。iOS 11で対応するグラフィックスエンジンMetal 2による3Dや、Core MLの機械学習処理なども、より高速に処理できる。
カメラについても、新しい1,200万画素センサーをそれぞれ搭載しており、タイムラグなしの撮影や4K/60フレーム秒のビデオ撮影、あるいはフルHD/240フレーム秒のスロー撮影に対応するなど、高機能化が図られている。デュアルカメラを搭載するiPhone 8 PlusとiPhone Xは、これまでのポートレートモードに加え、ライティング効果を作り出す「ポートレートライティング」も搭載された。よりドラマティックなポートレート撮影を実現する機能として、iPhoneのカメラの楽しみ方を拡げてくれる。なお、iPhone Xのカメラには、より明るいレンズと光学手ぶれ補正が加えられた望遠レンズが装着されており、イメージシグナルプロセッサとともに、暗所での望遠撮影やポートレート撮影が強化されている。
さらにガラスの背面の採用や、ワイヤレス充電、USB-PDによる高速充電などにもそれぞれ対応しており、iPhone 8とiPhone Xは限りなく近い存在といえる。「次の10年を作っていくiPhone」として登場したiPhone Xだが、iPhoneの10年間の進化の上に成立しており、実際にハンズオンで触れてみても、そのことが良く理解できた。