iPhone 8とiPhone Xでは、1200万画素と画素数こそ同じだが、サイズが拡大し、高速化とディープピクセルを採用した新しいセンサーが採用されている。センサーの拡大とディープピクセルは、色味、ディテール、テクスチャなどの高画質化に寄与する。

サンフランシスコ国際空港の第2ターミナルにあるメッシュのアート。細かい編み目を繊細に表現している

ターミナルで開催されていたタイプライターの展示。古い金属質感、使い込まれた道具の雰囲気が伝わってくる

このセンサーとAppleが設計した画像処理エンジン、ビデオエンコーダーを利用し、高速な写真の撮影と保存、またより高いフレームレートでのビデオ記録が可能になった。特にビデオは4Kで毎秒60フレームを実現したほか、民生用のデジタルカメラではなかなか例がないフルHD/毎秒240フレームのスローモーション撮影にも対応した。

こうした高い基本性能に加え、iPhone 8 Plusでは、2台のカメラを用いたポートレートモードをさらに進化させ、ポートレートライティングを実現した。この機能は、通常のポートレート撮影に加えて、「スタジオ照明」、「輪郭強調照明」、「ステージ照明」、「ステージ照明(モノ)」という5つの照明効果を実現している。リアルタイムにそのエフェクトをかけることもできるが、いずれかのライティングモードで撮影しておけば、あとから照明を変更することができるのだ。特にスタジオ照明やステージ照明は、照明機材やスタジオを揃えなければ撮影できなかった効果であり、 それをiPhone 8 Plusのシャッターボタン1つで実現してしまう点は驚かされる。

教会での結婚式をポートレートモードで撮影。やや暗い空間のとっさのシャッターでも、しっかりと被写体を浮かび上がらせてくれる

結婚式の様子を、4K/60fpsで撮影し、iPhone 8 PlusのiMovieで編集した。滑らかな動きと、静止画として切り出せる精細さは、イベントにもぴったりだった

ホワイトハウスの前で撮影。HDRとポートレートモードを同時に利用することができる。ポートレートライティングでスタジオ照明を適用すると、顔がよりくっきりと撮影できた

ポートレートライティングは、ポートレート撮影をしたあとからでも、ライティングを変更することができる

ワシントン記念塔をiPhone 8 PlusでのHDR撮影。塔の下にいる人々も、細かく写し出されている

つい魔法のような、という一言で言い表したくなるが、ロジックは簡単だ。ポートレートモードでは、2つのカメラを使って、被写体と背景を分離して認識することができるのだが、その上で、通常は背景をぼかす効果をかけている。被写体が分離されていれば、被写体に対して光のアテ方を変化させたり、背景を真っ暗にするスポットライトのような効果を作り出せる、というわけだ。しかも、記録された写真に奥行きのデータがあるため、あとからでもライティング効果を変更できる。

Appleはすでに奥行きデータを持った画像記録を「Depth API」として開発者に開放している。そのためポートレートモードで撮影した写真の背景を入れ替えたりするアプリなどの登場も期待できる。