Cook氏のオープニングに続いて、リテール担当のシニアバイスプレジデントであるAngela Ahrendts氏が、これからオープンする直営店や、この夏に直営店で開始したクラス/セッション・プログラム「Today at Apple」などを紹介した。そしてAppleストアを「ストア」ではなく、「タウンスクエア」と呼び始めたことを明かした。直営店はこれからもMacやiPhoneを販売するストアであり続けるが、それ以上にコミュニティに学びやインスピレーションのきっかけを提供する場を目指す、コミュニティ・プレースになる。

基調講演に登場することは少ないAngela Ahrendts氏、大きな拍手で迎えられた。終了後には、この日着ていたBurberryのコートも話題になった

現在改装工事中で来年後半に再オープン予定の「Apple Fifth Avenue」

来年前半にオープン予定、映画シアターを利用したミラノのAppleタウンスクエア

MacやiPhoneを販売する場所なんだからストアに徹するべきと思うかもしれない。だが、今米国では実店舗型の小売店が低迷している。原因はオンラインストアとの競争である。単に商品を買うだけなら、ネットの方が簡単で便利なことが多い。ただ商品を売るだけでは、実店舗にお客さんを集めにくくなっているのが現状だ。

大型テレビやストリーミングサービスに市場を奪われ始めた映画館が、3Dやコミュニティイベントなどに活路を見いだしているように、店舗を訪れてもらうためには、そこでしか味わえない体験を提供しなければならない。ローカルコミュニティの場であったり、ローカルアーティストから学べるクラス、丁寧なサポートなどは有効な手段になるだろう。店舗型小売りが不振に陥っている中でもAppleは好調を維持している。だが、商品を売るだけの実店舗型のストアからすでに消費者の心が離れ始めているのだ。Apple Storeの成功に甘んじず、顧客の心をつかむ新たなリテールを追求する。だから、同社は「ストア」を「タウンスクエア」へと変化させる。