米AMDは8月31日(現地時間)、ビジネス向けCPU「Ryzen PRO」の出荷開始を正式発表した。Ryzen PROの詳細はすでに報じたとおりだが、新しい話もいくつかあったほか、出荷開始に先立ってOEMパートナーの発表を聞く機械に恵まれたので、まとめて紹介したいと思う。

Ryzen PROのSKUは2017年6月にアナウンスがあった通り、Ryzen 7/5/3 PROという3グレードを展開し、いずれのグレードでも2モデルずつ用意する。

Photo01が競合となるIntelのCore iシリーズとのポジショニングを示したものである。OEM向け製品であるため、出荷数量に応じて金額が変わり、正確な金額がないということで価格は未発表である。ただし、基本的に競合製品と同程度という価格付けになる模様だ。

Photo01:おそらく単なるミスだと思うが、Core i3-7300だけ"C i3"になっている

新しい話は2つほどある。1つ目はセキュリティ関連機能を総称して"GuardMI"という名前になったことが明らかになった(Photo02)。"AMD Secure Technologies"では迫力が無いということだろうか?

Photo02:新機能ではなく単にそういう名前で呼ぶことにしたというだけの話だ。6月の説明会ではAMD Secure Technologiesとなっている

もう1つはチップセットに関する情報だ。Ryzen PROのチップセットは、コンシューマ向けと同じくAMD 300シリーズチップセットを用いる。ただし、この300シリーズチップセットは、コンシューマ向けのものと一部仕様が異なる。

そもそもAMDの300シリーズチップセットでは、当初からfTPM/TPM 2.0などのセキュリティ関連機能をサポートしているが、コンシューマ向けのSKUではこれが無効化されている。OEM向けのSKUではこれが有効化される形で出荷されるという話だった。

この設定は工場出荷時に決まるということだそうで、GuardMIを初めとするセキュリティ機能を利用したい場合、OEM経由のシステムを購入するのが現時点では唯一の方法ということになる様だ。

DELL - OptiPlex 5055

さて、そのOEMパートナーであるが、コンシューマ向け製品と同じく、DELL/HP/Lenovoというトップ3が並ぶことになった(Photo03)。

Photo03:このほかにMaingear/Boxx Technologies/Velocity Microがラインナップされている。今後もっと増えることが期待できよう

まずDELLであるが、OptiPlex 5055を今回ラインナップ(Photo04)。筐体はMini Tower(Photo05)とSFF(Small Form Factor)(Photo06)の2種類を展開する。

Photo04:このほかの展開については、いまのところノーコメントとのこと

Photo05:Ryzen 7 PRO 1700にRadeon R7 450、16GB DDR4-2400、M.2 256GB SSD+3.5inch 500MB HDD、802.11ac 2x2 Wi-Fi、8x DVD+/-RWといった構成。電源は240W(80Plus Platinum)。後端はケーブルカバーで簡単に着脱できる

Photo06:Ryzen 5 PRO 1500とRadeon R5 430、8GB DDR4-2400、256GB SATA SSD、8x DVD+/-RWの構成。電源はこちらも240Wだが、80Plus Bronze

DELLによればWorldwideでみた場合、Business PCに占めるDesktopの割合は51%に上り、またDesktop PCを半日以上使う人の数は81%にも達する(Photo07)ということで、Ryzen PROの様な製品は非常に重要としている。ちなみに同社はすでに多くのAMDプロセッサ搭載製品をラインナップ(Photo08)し、顧客ニーズにあわせてこれからも提供する方針を示した。

Photo07:ノートPCの比率が高い日本はむしろ例外的というべきか

Photo08:「AMDがWorkstationグレードのCPUもGPUも提供しているのだから、これを利用した製品は出さないのか?」と問うたところ「貴重なご意見ありがとう。WSのチームに伝えるよ」と具体的な将来計画は完全にノーコメントであった

ちなみにこのOptiPlex 5055は9月28日に販売開始の予定。価格は地域によって差が出るが、例えば米国の場合はRyzen 3 PROに4GBメモリ、500GB HDD、Windows 10という構成でSFFだと619ドル、Mini Towerだと659ドルを予定している。

HP - EliteDesk 705 G3

HPではEliteDesk 705 G3を投入する(Photo09)。こちらもMini Tower(Photo10)とSFF(Photo11)の組み合わせとなる。前モデルとの違いがこちらPhoto12で、だいぶ性能が強化されている。

Photo09:同社のAMD CPU搭載製品としては初のVR Ready PC

Photo10:Ryzen 5 PRO 1500+Radeon R5 430、DDR4-2400 16GB、M.2 128GB SSDといった構成。ただこれはベンチマークの実施に利用されていたので、もしかしたら実際の製品では異なる可能性もある

Photo11:Ryzen 7 PRO 1700X+Radeon RX480、DDR4-2400 16GB、M.2 128GB SSDといった構成。これもベンチマーク向け構成で、一般とは違う可能性がある

Photo12:下段が従来の製品の構成と思われる

ちなみにHPが想定するUse CaseがPhoto13で、幅広く利用されることを考慮し、さまざまなオプションも用意される模様だ(Photo14)。発売日や価格などは地域によって差があるようで、現時点では未公開とされた。

Photo13:とはいえ、Ryzen PRO「でしかできない」わけではないが、従来のAMDプロセッサでは難しかった領域にRyzen PROだと入りやすいのは事実であろう

Photo14:中段右の"Dust Management Solutions for SFF"がちょっとユニーク

Lenovo - Bristol Ridge/Carrizo搭載ThinkPadも

最後がLenovoだが、同社はRyzen PRO以外の製品も同時に発表した(Photo15)。まずRyzen Pro搭載製品としてはThinkCentre M715をアナウンスした(Photo16)。特徴はこんな感じ(Photo17)で、基本的には先にご紹介したDELL/HPの製品と大きくは変わらない。ただしThinkCentre M715は同日出荷開始な点が、少し異なる点といえる。

Photo15:LenovoのAMD CPU搭載製品一覧といった感じになっている

Photo16:Mini Towerの構成はRyzen 7 Pro 1800+Max 64GB DDR4-2400、M.2 PCIe SSD(2280)といったもので、GPUなどはカスタマイズ可能な模様。SFFの方のスペックは不明

Photo17:Ryzen PRO以外にBristol Ridgeも選べるのが他のメーカーとの違いか

Photo18:価格については今回未公表であった

このThinkCentre M715より力が入っていたのは、今回追加されるThinkPad Aシリーズである(Photo19)。

Photo19:現在もEシリーズはIntelとAMDの製品が混在しているが、その上のXとかTに関してはIntelベースのものと完全に分けることになるようだ

特徴は以下のようにまとめられる。

  • Radeon Graphicsを内蔵
  • 将来のAMDプロセッサにも対応
  • 顧客が選びやすくなる

第1弾製品として用意されるのが、ThinkPad A275とThinkPad A475である(Photo20)。ThinkPad A475(Photo21)はThinkPad TシリーズのAMD版という位置付けで、もう一方のThinkPad A275(Photo22)はThinkPad XシリーズのAMD版となる。こちらの価格や出荷時期などは未定である。

Photo20:左がA475、右がA275である

Photo21:Bristol RidgeとCarrizoのバージョンがあるそうだが、ということはCarizzoではDDR3が利用できるのだろうか

Photo22:こちらも同じく。ちなみにDIMMは1chになる。技術的には2ch構成はもちろん可能だが、マザーボードの制約で1chに絞らざるをえなかったそうで

ちなみにCarrizoはともかくBristol Ridgeが動くなら、Mobile Ryzen PROは(BIOS対応を別にすれば)載せかえるだけで動作しそうだが、まだMobile Ryzen PROは発表されていないということもあってか、将来製品については一切コメントできないとのことだった。