しかし、テレビやオーディオ(ホームエンタテインメント&サウンド、HE&S)にカメラ(イメージング・プロダクツ&ソリューション、IP&S)といった事業も健全化しており、かなり安定してきている。過去に「お荷物」とも言われた家電事業の健全化が一段落したことが、ソニーの業績安定に大きく貢献しているのがわかる。

業績をセグメント毎に。前年同期比で利益がマイナスになっているセグメントもあるが、売上は総じて好調であり、全体の業績を押し上げている

ゲームは下半期に注目、エンタメに迫る「構造変化」の影響

ゲーム分野の業績。基本的には好調なのだが、前年上期に自社制作ソフトの大ヒット(「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」、全世界で約870万本が売れた)があり、その分が減った結果、減収要因となった

セグメントごとに、まず収益貢献が大きいゲームからチェックしよう。ゲームはPlayStation 4の世界的な好調を受けて、基本的には右肩上がり。通期の売上予測を1兆9800億円・利益を1800億円に上方修正している。

他ジャンルと異なり、1セグメントのみ、前年同期比で263億円と大きな減収になっているが、これはゲームビジネス全体が減速した……というわけではなく、昨年上期にソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)制作ソフトの「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」が、800万本を超える大ヒットになった影響だ。

今年上期には自社ソフトでそこまでの大ヒットはなく(200万本クラスまで)、その分の減収となっている。大型タイトルが下期に準備されていること、元々ゲームは年末商戦の影響が大きいことなどを考えると、全体判断は下期の状況を見る必要がある。日本国内ではようやくエンジンがかかってきた段階で、任天堂の「Nintendo Switch」との競合が気になるところではあるが、世界的に見れば、PS4はいまだ一人勝ちの状況であり、短期的には大きな変動要因はない、とみていい。

音楽事業。「Fate/Grand Order」のヒットが音楽事業の主な増収要因に

なお、ゲームという意味では、特に国内でのスマートフォン向けゲームの収益が大きく出てきている点も指摘しておきたい。音楽事業においては、「Fate/Grand Order」の大ヒットにより、18.8%の大幅増収となっている。ゲームであるのに音楽分野に計上されているのは、同ゲームを運営するアニプレックスがアニメ制作会社であり、音楽事業を手がけるソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社であるためだ。

ゲーム本丸のSIEは、日本国内でスマホ向けゲームを運営する子会社「フォワードワークス」を設立。今年度上半期から本格的な事業展開を行っているが、その収益が反映されてくるのは下期から、ということになる。

また、音楽・映画に関しては、世界的な市場変化が収益構造にも大きく影響してきていることを指摘しておきたい。