ところでAppleは、6月に今後のポータブルオーディオの進化にとって重要なデバイスを発表している。12月からアメリカ、イギリス、オーストラリアで販売を予定するSiri対応のスマートスピーカー「HomePod」だ。AppleがiOSとSiriで培ってきた人工知能や機械学習のノウハウがどのように組み込まれるのか、その操作性や音質に関心が寄せられている。
音楽を耳だけでなく、体全体で感じるスピーカーリスニングを体験すると、不思議と「音質」にも興味がわいてくるものだ。Appleも、これからの音楽リスニングをリードするために、いよいよ音質の探求に本腰を入れるべき時が来たように思う。AppleがHomePodを発表した時に、既存のスマートスピーカーとの違いを「音質へのこだわり」であるとうたったことには大きな意味がある。AppleはiOSデバイスでのハイレゾ対応を実現していないが、HomePodが成功し音質が高く評価されれば、それをきっかけに全く新しい高音質のポータブルオーディオデバイスが生まれる可能性もあるだろう。
また、HomePodの登場により音声入力の操作性がブラッシュアップされれば、「AirPods」の次世代モデルに大きな影響が出るかもしれない。例えば、イヤホン本体に音楽プレーヤー機能やSIMによるセルラー通信機能を内蔵して、Siriとタッチセンサーで快適に操作できれば、AirPodsが最強のポータブルオーディオデバイスに大化けする。
このたび役目を終えたふたつの銘機がそうだったように、Appleの新しいデバイスが私たちのミュージックライフをどのように「再発明」してくれるのか、期待が高まるばかりだ。