既報の通り、第6世代にあたる新型iPod touchがAppleより発売された。同製品の詳細や他モデルとの比較は別記事を参照していただくとして、本稿ではマーケティング的側面から、新型iPod touchに関する疑問や製品の位置付けを考察してみたい。

第6世代iPod touch

iPodはいつまで販売が続くのか?

以前の噂レポートの中でも紹介したが、現在のAppleにおけるiPodの売上は微々たるものにも関わらず、今回のように(マイナーアップデートながらも)新製品が発表され続けている。touchを除けば、iPod nanoやshuffleはほぼ音楽再生に特化したデバイスであり、音楽ファンに向けてアピールを続けていると好意的に解釈できるだろう。ただ一方で、大量の楽曲ライブラリを持ち歩くことが可能な「iPod Classic」は2014年に製造を終了しており、必ずしもすべての音楽ファンにアピールするための製品ラインを揃えているわけでもない。「1.8インチのHDDの調達が難しいのでは?」「SSDにするとコストが高くなるから?」など、いろいろな考えが浮かんでくるが、結局のところ「販売を続けるには台数があまり出ない」ことが一番の理由だと想像する。

2014年に製造を終了したiPod Classic

幸い、touchを除くと現在も残っているnanoとshuffleは低価格帯の製品であり、比較的気軽に購入できる製品だ。6色以上のカラーバリエーションを用意できるというのも「比較的潤沢に在庫を揃えても商品が売れる」ことが背景にあり、「Appleの音楽サービスを利用してもらうための窓口」として残しているのかもしれない。このタイプの小型で可搬性に優れた音楽再生デバイスの領域は他のApple製品で埋めることが現状では難しいため、多様性を確保するための戦略デバイスとして残されているのだろう。

iPod nano

iPod shuffle