ターゲットはスマホの中心ではない子供とシニア

ターゲットとするユーザー層にも特徴がある。多くのMVNOは、大手キャリアから既存のスマートフォンユーザーを奪う戦略を取っていることから、ターゲットは20~40代くらいの、スマートフォンを積極的に利用する人達が中心となる。だがトーンモバイルは、あえてその中心となる層は狙わず、スマートフォンの利用が少ないとされる子供、そしてシニアをターゲットとしているのだ。

実際、トーンモバイルが力を入れているサービスを見ると、その狙いがよく理解できる。7月25日に同社が実施した発表会では、子育て世代向け女性誌「VERY」とコラボレーションし、親からの要望に応えるべく、中学生までは夜10時から翌日の朝6時まで、スマートフォンを利用できないようロックをかけられる機能を提供することを発表している。子供向けの対応とはいえ、通信事業者が自ら積極的に“通信させない”取り組みをするのは異例中の異例だ。

VERY読者の子育て世代の意見を取り入れ、中学生までは夜10時から翌6時まで、緊急時の通話など一部機能を除き、スマートフォンを利用できない仕組みを設けた

さらに同日には、指定の場所に訪れると、自動的にロックがかかる「ジオロック」機能や、親子で紙に約束事を書き、それを撮影することで、利用時間や使えるアプリを決められる「親子の約束」などの機能を追加したことが発表されている。しかもこれらの機能は独自のハードウェアと連動させていることから、親世代よりもスマートフォンに関する知識を豊富に持つ子供であっても、容易に制限を解除できない仕組みになっているという。

一方シニア向けとしては、やはりスマートフォンに馴染みがなく不安や抵抗感を抱く人が多いことから、安心して利用できる仕組みに力を入れている。フィーチャーフォンからのアドレス帳移行や、リモートなどによるサポート機能を標準で提供するのに加え、最近ではあまり力を入れなくなった紙の説明書に、あえて力を入れて取り組むなど、不安を取り除くための施策に注力している。

TONEではスマートフォン初心者が多いシニアに安心感を与えるべく、あえて紙のマニュアルに力を入れているという

さらにスマートフォンに馴染んでいない人に向け、テキストの入力を音声でしやすくする仕組みを提供するほか、スマートフォンを持って歩くとTポイントが貯まる仕組みなども用意。また離れた場所に暮らす家族に安心感を与えるべく、歩数が一定に達していない場合は家族に通知が届くなど、シニアの見守りに関する機能も充実させている。