Appleの主張は1カ月前にAppleが直接Qualcommを相手に起こした訴訟の内容と変わらない。QualcommとAppleとの間には、通信技術に関するライセンス契約が結ばれてきた。しかしそのライセンスには、Appleが不服とするいくつかのポイントが含まれていた。
まず1つは、ライセンス料が、端末全体の販売価格に対して課せられている点だ。これについては、携帯電話の用途が通信中心だった時代には合っていたかもしれない。しかしスマートフォンとなって発展していく過程で、通信以外の要素が携帯端末の価値や意味を持つようになってきた。
この件を担当するAppleのシニアエグゼクティブに話を聞くと、「Retinaディスプレイやカメラ、Touch ID、Apple Payなど、Appleの技術者が作り出したiPhoneの価値を、なにもしていないQualcommが享受している状態」と説明し、これを是正したいとの考えを述べた。
もう1つは、「ダブルディップ」と呼ぶ、ライセンス料の二重取り状態だ。Qualcommは特許技術のライセンスと、ベースバンドチップの供給を別々に契約しており、ライセンスがなければベースバンドチップを供給しない、という形でデバイスメーカーの中で独占的な地位を築いてきた。このビジネスモデルは、各国でも問題視されている部分だ。
Appleのシニアエグゼクティブは、「Qualcommのビジネスモデルは、テクノロジーのイノベーションを阻害する動き」と繰り返し主張してきた。