修理中184万人が訪れた見学施設のこだわり
城郭内部は8階建てとなっており、1階と7、8階に見学用のスペースが設けられた。「最上階8階はガラス張りにし、職人たちによる瓦や漆喰の修繕作業を間近で見られるようにしました。また天守閣の美しい屋根を臨場感のあるアングルから見ることができる仕掛けも、人気を博した理由のひとつだと考えています」(奥田氏)
そして伝統技術をもつ職人の“技”へのリスペクトも忘れない。「今回の修理工事で重要な役割を担う職人たち。未来へ“技”を継承するため現在の職人に経験を積んでもらう必要があります。その思いを具現化するため、1階のエントランスホールの壁面には、職人たちのシルエットをデザインしました」(奥田氏)
「城郭建築の醍醐味を体感しながら間近で“匠の技”を見学できる仕掛けと世界遺産の話題性が相乗効果となり、開館期間中は184万人の来館を記録しました。当初のねらいであった文化財修理や大規模改修の重要性の啓発につながったと感じています」(春井氏)
こうして2014年にグランドオープンした姫路城。乃村工藝社は、その後の姫路城の管理・運営も担っていくこととなる。【後編へ】