イタリアの家電メーカー、デロンギから6月1日に発売された「タシューゴ アリアドライ マルチ」。コーヒーマシンやオイルヒーターで知られる同社が、日本で初めて投入した衣類乾燥除湿機です。今回は、この衣類乾燥機を実際に試用してみた所感をまとめたいと思います。

タシューゴ アリアドライ マルチ。推定市場価格は税別29,880円前後

機能はかなりシンプル

デザイン性の高さはもちろん、機能や技術面でも革新的な製品を数多く展開するデロンギ。そんなデロンギの衣類乾燥除湿機は、いったいどんな先進的な製品なのだろう? と思いきや、この製品の機能は極めてシンプルです。

ボタンは電源とモード選択用の2つのみ。電源を入れた後の操作は、湿度設定が約60% / 約50% / 約40%の3段階で選べる弱 / 中 / 強運転か、衣類乾燥モードのいずれかを選ぶだけです。弱 / 中 / 強運転の場合はそれぞれ設定湿度に達すると自動で運転を停止し、衣類乾燥モードの場合は連続運転を続けるようになっています。驚いたことに、衣類乾燥除湿機では一般的な風量・風向設定の機能やルーバー(風よけ)を備えていません。

操作部は前面に。右端が電源ボタンで左端のボタンを押すとモードが切り替わります

送風口は手前側に

ちなみに除湿可能面積の目安は、木造住宅で8畳/9畳(50Hz/60Hz)まで、コンクリート住宅で16/18畳(同)まで。1日あたりの定格除湿能力は6.5/7.2L(同)と、W33.5×H50.5×D22.5cmという本体サイズに対して高いスペックを持つ印象です。

「A4サイズ」だけどハイパワー

タシューゴ アリアドライ マルチは除湿機の中でも「コンプレッサー式」と呼ばれる方式を採用しています。冷却器と放熱器を搭載し、空気中の水分を冷却・結露させて水滴に変え、さらに加熱して乾いた空気として放出するという、エアコンの除湿とほぼ同じ仕組みです。コンプレッサー式は他の方式に比べて除湿能力が高いのが特長。とくに気温の高い時期に威力を発揮しやすく、ヒーターを用いる「デシカント方式」よりも低消費電力であるというメリットがあります。

その反面、コンプレッサー式は本体が大型になりがち。除湿能力は内部の部品の大きさに応じて高くなっていくのが定石なので、能力が高いものほど大型化してしまう傾向にあります。

ところが、タシューゴ アリアドライ マルチの大きさは、底面の設置面積でいえばA4サイズに収まるほど省スペース。これだけコンパクトだと除湿能力が劣ってしまうのではと心配してしまいますが、定格除湿能力が1日最大7.2Lというスペックはクラス最大級になります。