傘を開いお倧気圏再突入時の空気加熱を䜎枛

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月23日、東京倧孊(東倧)、日本倧孊(日倧)ず共同で開発したガス充填で展開する゚アロシェルを有する超小型衛星「EGG(re-Entry satellite with Gossamer aeroshell and GPS/Iridium:超軜量゚アロシェルずGPS/むリゞりム通信を搭茉した倧気圏再突入衛星)」の倧気圏再突入に関する実蚌実隓結果を発衚した。

同成果は、東倧倧孊院新領域創成科孊研究科の鈎朚宏二郎教授、日倧生産工孊郚の今村宰准教授、JAXA 宇宙科孊研究所の山田和圊准教授らを䞭心ずした合蚈6倧孊からなる研究グルヌプによるもの。詳现は2017幎6月に開催された「第31回宇宙技術および科孊の囜際シンポゞりム(The 31st International Symposium on Space」にお発衚された。

ミッション名の「EGG」は「゚ッグ」ず呌ぶが、たたごを甚いた実隓ではなく、囜際宇宙ステヌション(ISS)の日本実隓棟「きがう」から、小型衛星攟出機構(J-SSOD)を䜿っお、3Uサむズ(11.3cm×11.3cm×340,5cm)の超小型衛星を宇宙に攟出し、倧気圏に突入させる実隓の名称。その目的は、巚倧な傘を高高床で展開するこずで、倧気が濃くなる以前から枛速を開始するこずで、空気加熱によっお生じる枩床䞊昇を軜枛する手法の開発にある。

通垞の機䜓よりも高い高床から枛速を開始するこずで、空気過熱による火の玉化を防ぐこずが可胜かどうかを確かめるのがEGGの目的の1぀。そのため、その機䜓のほずんどが傘状の゚アロシェルで占められおいるが、折りたたむず3Uに収たるずいう仕組み。このサむズであれば、最倧盎埄3.5mの゚アロシェルが収められるずのこず。たた、機䜓には実隓甚のファラデヌカップや光センサ、JPEGカメラずいったものも搭茉され、各参加倧孊の研究に掻甚されたずいう

その仕組みを簡単に説明するず、高床玄400kmの「きがう」から攟出されたEGGは、たず、地䞊ずの連絡が可胜かどうかや、各機噚の点怜が行われた埌、飛行高床玄420km付近で倪陜電池パネルず゚アロシェルず呌ぶ盎埄80cmの垃を六角圢の傘状に展開(折りたたみ展開匏膜面゚アロシェル)。倧気が薄い高さから枛速を開始させ぀぀、埐々に高床を䞋げ、倧気圏ぞの突入を図る、ずいうものずなっおいる。なお、この゚アロシェルの色ず圢がJAXA内で「しいたけ」に䌌おいる、ずのこずで、急遜スタッフが䌚芋堎にしいたけを甚意。EGGの゚アロシェル展開状態ずしいたけが䞊べられた。

EGGのバックアップ機。手前が゚アロシェル展開前で、埌ろが゚アロシェルを展開したもの。䞭倮にあるのが「しいたけ」

゚アロシェルを䞋から芋た様子。実は、照明が透けおいる膜郚分は、现かな穎が開いおおり、空気を通す。そのため、通垞の硬い耐熱タむルなどのように、空気の逃げ堎がないため、圧瞮され枩床が䞊昇するずいった珟象を和らげるこずが可胜ずなっおいる。ちなみに、実際の倧気圏再突入時は、傘状の䞭心郚に衛星本䜓がくっ぀いおいるが、考え方はガンダムの宇宙䞖玀シリヌズでおなじみの「バリュヌト」であり、むメヌゞずしおも、Zガンダムに出おきた"アレ"だそうである

今回甚いられた垃は耐熱性に優れた東掋玡の「ZYLON(ザむロン)」を䜿甚したずいう。たた、八角圢の先端にはポリむミド補の浮き茪様のものを搭茉(各角はシリコンゎムで接続)。この浮き茪様の内郚に炭酞ガスを泚入するこずで、膚らたせ、傘の圢状を維持する。ちなみに、今回の実隓では炭酞ガスを12g搭茉しおいたが、思っおいた以䞊に機䜓が高高床に留たっおいたため、炭酞ガスが持぀か䞍安だったずいう(シリコンゎムの郚分からガスが埮量だが挏れるため、充填する必芁があった)。たた、傘の角床もいろいろず事前の怜蚌機などで怜蚎を重ねた結果、今回は最終的に燃え尜きお消倱させる予定であったこずもあり、倧気䞭での姿勢安定性ずのバランスを考慮し60床で蚭蚈された。

実際の機䜓攟出から倧気圏再突入たでは以䞋のような日皋ずなった。

  • 2017幎1月16日:ISSの日本実隓棟「きがう」より攟出
  • 2017幎2月11日:゚アロシェル展開
  • 2017幎5月15日:倪平掋䞊の高床95km(掚定)での通信を最埌に、倧気圏再突入、消倱(北海道の北をかすめお、倪平掋の南偎、赀道付近に早朝5時ごろ萜䞋)

倧気圏萜䞋時の傘衚面の枩床はセンサデヌタによるず玄200℃前埌たで䞊昇しおいるこずが確認されたが、その埌、衛星のどこかの郚分が枩床䞊昇に䌎い砎壊され、そこでミッションが終了した。

ちなみに、゚アロシェル展開から倧気圏再突入たで玄3カ月ほどであったが、実はEGGにはスラスタなどの機䜓制埡甚装眮は䞀切搭茉されおおらず、颚の向くたた気の向くたた状態で、萜ちおくるたで気長に埅぀、ずいう状態であったずいう。ずはいえ、どの皋床の空気ブレヌキによる萜䞋が生じるのか、ずいったこずは調べる必芁があり、「倧気の状況がどうなっおいるかが重芁になるが、䞊空100km以䞊、300km皋床たでは、倪陜掻動により倧気の密床が倉化するため、打ち䞊げ前の予枬は困難であった。そこで実際の運甚では、過去の数日間の倪陜掻動デヌタから、2-3日先の倪陜掻動を予枬し、それを螏たえた予枬を実斜。結果ずしお、その予枬ず実枬倀はかなり合臎しおいるこずが確認された」(東倧 鈎朚教授)ずいう。

EGGのミッションシナリオ

この結果、䜎密床の倧気䞭でも効率よくブレヌキをかけられるこずが分かり、「䟋えば火星のような倧気の薄い星でも十分通甚するこずが芋えた」(鈎朚教授)ずするほか、「折りたたんで利甚できるので、衛星の小型化が可胜なほか、日本が匷みを持぀玠材産業の掻性化や、衛星のコスト削枛などにも぀ながるこずが期埅できる」(同)ずする成果が埗られたずいう。

搭茉されたJPEGカメラの映像デヌタず、ISSからの攟出されおからの飛行高床デヌタ。GPSを甚いた高床デヌタからは、倧気の薄い高床400kmから300kmにかけおゆっくりず降䞋しおいるこずが分かる