今回はカメラ本体にフルサイズ機を使用したが、実はハイスペックなAPS-C機にも非常にマッチするレンズではないかと思う。その理由は、焦点距離が最大900mm相当(1.5倍換算の場合)まで稼げるだけでなく、カタログ掲載のMTF曲線を見る限り、周辺部の解像力が低下しはじめる直前までの「このレンズのもっとも美味しい部分」だけを使えるからだ。

AF駆動ユニットには、リング型超音波モーター「USD(Ultrasonic Silent Drive)」を搭載。ファインダーの中に収めるだけでも苦労する超高速のエアレーサーを、600mmというシビアなズーム倍率で、なおかつ結構な重量のレンズ鏡筒を駆動しつつ捕まえる実力は驚異的だ。なお、「10-2.2m」「∞-10m」「Full」という3段階のフォーカスリミッターが付いているので、飛行機の撮影時には確実に「10-∞m」に合わせておきたい。

1/640秒 f/13 380mm ISO250
残念ながら、好成績を残せなかったチーム・ハミルトンのニコラス・イワノフ選手が駆るエッジ540 V2。次のブダペスト戦に期待!

1/1000秒 f/7.1 600mm ISO250
マルティン・ソンカ選手のエッジ540 V3。時刻は15:30。照度が落ちても、レンズがクイックに被写体を追い続ける

1/1250秒 f/7.1 460mm ISO400
総合首位のソンカ選手は、インコレクトレベル(パイロン通過時に機体が水平になっていない)でペナルティとなり、室谷選手の優勝が決定した

1/1600秒 f/6.3 600mm ISO320
ランキング上位のライバルを次々と破り、見事ホームレース2連覇を果たしたチーム・ファルケンの室屋義秀選手。愛機はエッジ540 V3

スイッチ類。左から手ブレ補正モード、手ブレ補正オン/オフ、AF / MF切り替え、フォーカスリミット

結論。TAMRON SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2は「本格的な超望遠の世界に挑戦するなら、真っ先に候補に入れるべき1本」といえる。他社の競合製品と比較する場合にも、画質、AF速度、手ブレ補正、扱いやすさのすべてにおいて基準となり得るレンズである。

作例撮影:青木明子
協力:ハミルトン