ハイエンドのMacを拡充すると同時に、今回のWWDC 2017では、Macのラインアップの一部を値下げしている。iMac 4Kモデル、そしてMacBook Pro 13インチTouch Barなしモデルを、それぞれ1,299ドルからとした。

米国は9月が新学期となり、ちょうどこれから学校の準備が活発化する「Back to school商戦」が控えている。今回の値下げは、新生活を迎える学生や社会人に向けて、新製品を安く購入できるようにするアピールを仕掛けようとしているのだ。

その背景には、MicrosoftとGoogleの脅威がある。特に米国の教育市場では、Chromebookが58%のシェアを誇り、Microsoftは22%。AppleはMacとiPadをあわせても19%と第3位のブランドに甘んじている。Chromebookが強いのはなんと言っても価格の安さ。そしてMicrosoftが強いのは、モバイルノートとタブレットを融合させ、双方のメリットを獲得した2-in-1やデタッチャブルといった、新しいモバイルのトレンドを作りだしているところだ。

Appleは価格面、性能面、スタイルの面でGoogleとMicrosoftに追いつけず、近年の低迷を招いている。MacとiPadを混ぜない、という主義はどうしようもないとして、価格面と性能面では、きちんと競争力をつけて対処しなければならない。

今回の新しいラインアップと値下げが、どれだけ有効に左右するか、2017年9月末締めの2017年第4四半期決算に注目しておきたいところだ。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura