広角的にも望遠的にも使える焦点距離

35mm判換算で50mm相当の焦点距離については、昔ながらの標準レンズに相当する。古くからの写真愛好家ならすんなりと使いこなせるはずだ。遠近感が肉眼に近く、誇張のない素直な写りが得やすい。撮り方次第で広角的にも望遠的にも使える、自由度の高い焦点距離といってもいい。

絞り優先AE F5.6 1/640秒 ISO200 WB:晴天

絞り優先AE F5.6 1/30秒 ISO200 WB:晴天

最短の撮影距離は0.3m。最大撮影倍率は0.11倍で、35mm判換算では0.22倍相当になる。

絞り優先AE F1.2 1/30秒 ISO200 WB:オート

絞り優先AE F4 1/15秒 ISO640 WB:オート

トータルとしては、F1.2というワンランク上のスペックを持ちながら、使い勝手に優れたレンズに仕上がっていると感じた。開放値が明るくなるほど被写界深度が浅くなり、一般的には撮影の難易度が高くなる。だが本レンズなら安心してAF撮影ができ、ピンボケの失敗は少ない。加えて、描写面での満足感も高い。今回は主に動植物や風景を撮影したが、ポートレートや子どもの撮影用にも好適といえる。

ハードルになるのは、実売14万円を超える価格だろう。同じ焦点距離でも開放値をF1.8に抑えた「M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8」(同社オンラインショップでの価格は税込36,288円) なら、約1/4ほどの価格で購入できる。

とはいえ「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」の高品位な写りと道具としての質感の高さ、使い勝手のよさを一度知ってしまうと、下のクラスのレンズにはもう戻れない。写真撮影を本気で楽しみたい人や、他人とは違った写真を目指す人なら、「M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO」を選択する価値は十分にある。

「E-M1 Mark II」との相性は良好。ズームレンズとは違った、撮る楽しみも味わえる