大口径レンズならではのボケ味を楽しむ
F1.2という明るさには、ブレ防止だけでなく、ボケ表現が楽しめるというメリットもある。下の写真は、ちょうど見ごろを迎えたチューリップの花。開放値F1.2を使うことで背景をぼかし、一輪の花のみを際立たせた。ボケは滑らかでクセがなく、一方で合焦部分はしっかりと解像している。
参考までに、ズームレンズを使って同じ画角で撮ってみた。下は、高倍率ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」の開放値F4で撮影したもの。高倍率ズームとしては特に暗いわけではないが、F1.2とF4とではボケ量や写真の雰囲気がまったく異なることがわかるだろう。
レンズ構成は14群19枚で、絞りには9枚羽根の円形絞りを採用。光源に生じるボケの形状については、開放値では周辺部になるほどレモン型になりがちだが、F1.8まで絞るとほぼ円形のきれいな玉ボケになる。
絞り値ごとの写りの変化も見てみよう。下の写真は、同一シーンを絞り値を変えながら撮影したもの。後ろボケに比べると前ボケはやや硬めだが、不自然というほどでない。赤い花を見ると、開放値からのシャープネスの高さがわかる。
次は、絞り値を変えながら遠景を撮影したもの。開放値でも十分に使えるが、F4~5.6程度まで絞り込むと、四隅まで最も高解像な写りが得られる。歪曲収差はほぼ気にならず、開放値での周辺減光や色収差は比較的少なめに抑えられている。