アップルにもプレッシャーがかかる

フェイスブックのARへの取り組みは、グーグル、アップルといったテクノロジー企業へのプレッシャーになるだろう。とくに、ARに大きな可能性を見出していることを明言してきたアップルにとっては、ARのプラットホーム化の方法について、注目しているはずだ。

その点で、フェイスブックが3つの活用手段を例示した点は、分かりやすい整理であり、今後テクノロジーのプラットホーム企業やアプリ開発者がARについて考える際のフレームワークになっていく。そうした下地がある中で、アップルがどのようにして、開発者に対してAR活用を促して行くのか、非常に興味深い。

アップルは、テクノロジーによる生活の向上を目指す中で、仮想現実よりも拡張現実に可能性があるとの考え方を示してきた。特に2016年のポケモンGOのヒットにインパクトを感じたのは、フェイスブックとアップルに共通する反応だった。両者のトップがポケモンGOに言及した点からも分かる。

ポケモンGOが表現としてのARを主題としたゲームではないが、地図の上に仮想的にポケモンが存在し、自分が動き回ることでプレーをするスタイルが定着したことは、拡張現実の体験をゲーム以外でも幅広く活用する糸口となる。

アップルは、次のiPhoneとiOSに、なんらかのAR機能を盛りこんでくることになるはずだ。そのきっかけを見つけられるとすれば、直近では次のiOSを披露する6月の開発者会議WWDC 2017であり、9月に披露されるとみられる新型iPhoneの発表のタイミングになる。

ただし、アップルがiPhoneやiOSでARをサポートするからといって、フェイスブックのプラットホームや対応するアプリにとってプラスにこそなるが、マイナスになることはないだろう。より簡単にデバイスのAR機能を活用することができるようになる点で、AR活用がますます加速していく、そんなシーンを演出することが期待できる。