フェイスブックは昨今のスマートフォンの性能とコンピュータビジョンの性能向上から、リアルタイムに平面や物体を認識し、カメラが動いても、同じ場所にデジタルオブジェクトを配置し続けることができるようになったと説明する。これと位置情報やセンサーを活用することで、より精度の高いAR合成を可能にしている。

最後に装飾の例では、フェイスブックが買収した「マスカレード」や、日本でも流行っているアプリ「スノー」のように、写真やビデオに映る顔に対して帽子やお面を付けるような合成を行うことを指す。こちらも、静止画や録画済みのビデオではなく、フェイスブックが昨今力を入れるライブ配信に対しても、スマートフォンだけで合成を行うことができるようになった。

建物をキャンバスに見立ててデザインを行った例

プラットホーム構築のために、ツールを提供する

フェイスブックは、カメラをAR体験のきっかけに設定する上で、そうしたコンテンツを作り出すためのツールも提供している。

まず、Facebookアプリから利用できるカメラの装飾機能のなかで、最も身近なフォトフレーム合成については、「Frame Studio」と呼ばれるウェブブラウザからアクセスするツールで、簡単に作ることができる。

Frame Studioにアクセスして、フレームの素材となる画像をアップロードし、配置するだけで完成する。特別なプログラミングの知識も必要であり、アーティストやデザイナーも、ARコンテンツを手軽に作ることができる。

また、顔や場所へのリアルタイム合成を行ったり、ゲームを開発する際のツールとして、AR Studioも提供する。こちらは、パソコンのウェブカムの映像などを用いて、合成する映像やその動きなどを詳細にデザインすることができる仕組みだ。

AR Studioなど開発ツールを提供する

これらのツールで開発したARコンテンツは、Facebookアプリのカメラから利用することができるようになり、普段のFacebook利用とARがより身近になっていくことが考えられる。 またアプリ開発者やビジネスユーザーにとっては、AR体験をプロモーションや自分たちのサービスに取り入れることができるようになる。広告主体のビジネスを展開するフェイスブックにとっては、将来有望な新しいチャネルとして、成長させていくことになるだろう。