Facebookは米国時間4月12日に開発者イベントF8を開催した。Facebookの長期ビジョンが基調講演のテーマとなったが、そのなかで、最も重要かつ大きな変化を遂げそうなサービスがメッセージアプリの「Facebookメッセンジャー」(以下、メッセンジャー)だ。

大きく変わろうとするFacebookメッセンジャー。変化は何をもたらすか

Facebookは、メッセンジャーのプラットホーム化を2015年のF8から進めており、これまではメッセンジャーでのコミュニケーションに、面白いビデオや画像を付加・投稿できるアプリ連携の手段などを提供してきた。対して、2016年のアップデートは、メッセンジャーをビジネスプラットホームに変えよう、というアイデアだ。

会話の自動化でビジネスが進む

"メッセンジャーをビジネスプラットホームにする"という取り組みは、モバイルにおける非常に多くの物事、すなわち、我々の生活そのものを大きく変えていく可能性を秘めている。

企業は、Facebookユーザー個人との間でメッセンジャーを介したコミュニケーションができ、情報提供やサービス提供、コマースなどが実現できる。ユーザーも、メッセンジャーさえスマートフォンに入っていれば、アプリを見つけてインストールする必要がなくなる。

そして、もうひとつ。メッセンジャーのビジネスプラットフォームでは、企業はこれまでのように、ユーザーから届いたメッセージ、一件一件に、人力で対応する必要がなくなる。Facebookが披露した「Bots for Messenger」で、自動会話エージェントを作れるようになるからだ。

この自動会話エージェントとはどのようなものか。基調講演において披露されたSpringというコマースサイトのデモを例に挙げてみよう。

Springの事例。チャットボットとのやりとりでは商品情報を掲示して「購入する」「同様の商品を見る」「質問をする」といった選択肢を表示。メッセンジャーからのアクションを可能にする

Springとのメッセージを開くと、「今日は何をお探しですか?」と取扱商品のカテゴリーの選択肢をボタンで表示する。完全な自由作文に加えて、あらかじめボタンで用意することで、ユーザーからの返答を受け、会話することができるのだ。

また、絞り込まれた商品や天気の週間予報など、複数のアイテムを横スクロールで表示するカルーセルも用意された。企業が持っているサービスを、定型的に、メッセンジャーのチャット内で利用できるインターフェイスへと進化したのだ。

チャットボットを活用したサービスを数多くの企業が提供する