MM総研は4月13日、個人事業主を対象に、2017年3月末時点のクラウド会計ソフトの利用状況をまとめ、その結果を公表した。

同調査は、2017年3月21日~27日の間、2016年分の確定申告を実施した個人事業主1万7420事業者を対象にWebアンケートを用いて実施したものとなる。

これによると、会計ソフトを利用する個人事業主は32.5%で、そのうちインターネット経由で会計ソフトの機能を利用するクラウド会計ソフトの利用率は13.2%。クラウド会計ソフトの利用率が10%を超えたのは2015年12月に調査を開始して以来、初めてとなる。

また、クラウド会計ソフトの認知度を確認したところ、「知っている」との回答は全体の69.5%に達し、2016年12月調査時よりも3.8ポイント上昇した。クラウド上にデータを保管し、ネット環境さえあればどこでも利用でき、複雑な勘定科目を自動で判別・仕訳してくれる機能などへの認知が進み、少しずつ着実にクラウド会計ソフトは浸透しているようだ。

なお、「会計ソフトを利用していない」と回答した個人事業主は56.3%。この非利用者に会計ソフトの代わりに利用しているものを確認したところ、「市販の帳簿やノートなどへの手書き」が41.5%、「エクセルなどの表計算ソフトに入力」が39.4%で多く、次いで「税理士や会計事務所への外部委託」が12.0%となった。

「弥生」「マネーフォワード」はシェアを拡大、「freee」はシェアを縮小

クラウド会計ソフト利用者に、実際に利用しているクラウド会計ソフトを回答してもらったところ、事業者別では「弥生」が56.8%で最も多く、「マネーフォワード」が19.9%、次いで「freee」が16.9%、「全国商工会連合会」が3.2%となった。

「弥生」は、2016年12月調査時の52.8%からシェアを4.0ポイント上げた。既にシェア50%を超えてはいるが、引き続き個人事業主からの支持を伸ばしているようだ。

2位の「マネーフォワード」は、2016年12月調査時の17.7%から今回の2017年3月調査では19.9%とシェアを2.2ポイント伸ばし、「freee」を抜いて2位に浮上した。一方で「freee」は2016年12月調査時の22.3%から今回の2017年3月調査では5.4ポイント減となる16.9%と、上位3社の中で、唯一シェアを落とした。

起業準備や起業をきっかけにクラウド会計ソフトを導入

また、同調査では、今後の個人事業主におけるクラウド会計ソフトの導入意向を分析するにあたり、クラウド会計ソフトを認知しながらも、現在利用していない個人事業主(1万524事業者)に今後の利用意向を確認した。

これによると、「今後利用したい(6.0%)」と「どちらかといえば今後利用したい(28.5%)」を合わせたクラウド会計ソフトの利用予備軍は34.5%となった。

この利用予備軍を事業継続年数で分析したところ、2年未満が50.0%、2年以上5年未満が40.5%、5年以上20年未満が33.8%、20年以上が31.3%と、事業継続年数が若いほど利用意向が高い結果に。

これは、過去3回の調査と同様の傾向で、起業や独立を目指す比較的事業継続年数の若い個人事業主が、引き続き、クラウド会計ソフト市場をけん引していくものと見られる。