ミスドの本気度

これまで商品の監修はあったものの、共同開発はミスド初との取り組みとのことで、何かを変えたいという気持ちが強くあるようだ。それは新商品発表会の冒頭で、宮島賢一専務が語った言葉からも伺える。

同氏は、かつて使われていたブランドスローガン「いいことあるぞ ミスタードーナツ」を持ち出し、今年はミスドを大きく変えていくと宣言。共同開発商品は、何度もリピートしてもらえるように、新しい価値を提供しようと考えた結果だと話す。

宮島専務の言葉に「歯ざわりのいい言葉が並ぶなあ」というのが最初の印象だった。そもそも、新しい価値のために、共同開発をしなくとも、自社開発という道もあったはずだ。それに、コラボ商品は世の中に数多くあり、何もミスドばかりが特別なことをしているわけではない。

しかし、掘り下げて宮島専務に話を聞くと、印象は大きく変わる。低迷の原因に関して、多方面から分析、その最適解として今の取り組みがあり、本気で「大きく変わるぞ Mister Donut」になろうとしていることがわかるからだ。

自社開発ではない理由

なぜ、共同開発に出たのか。その答えとして宮島専務は、日本で一人世帯が増え、ファミリー層が減っているなかで、ドーナツに求められる商品の幅が求めらているからと話す。多様な商品求められつつも、スイーツの流行は非常に短く、話題性、高品質をセットで商品に詰め込むには、コラボレーションが一番最適という結果に至ったようだ。

しかしである。ドーナツを巡る競争は激しい。近年ではコンビニ各社がドーナツを販売。ミスドの業績低迷は、コンビニドーナツが大きく影響しているというのが、一般的な見方だ。今回のような共同開発をした新商品を出しても、ミスドは大きく変化できるのか、という疑問が出てきてしまう。

これに対して宮島専務はコンビニドーナツの影響はそれほどないと主張する。「コンビニのスイーツはついで買いの商品。ミスタードーナツのお客さんはドーナツを買いに来られるので、買い方がまったく違う」と話す。これはコンビニに対する配慮なのか、と思える発言だが、実は昨年の発表会でもほぼ同一のことを話しており、どうやら本音のようだ。 となると、浮かんでくるのが新たな疑問。それは、ミスドが低迷した真の理由だ。