アイ・オー・データ機器は3月22日、曲面27型フルHDディスプレイ「LCD-GC271XCVB」を発表した。4月下旬の発売を予定し、店頭予想価格は税別54,800円。ゲームだけでなく、普段使いも考慮した仕様となっている。発表に先立って開催された説明会では、製品のコンセプトや仕様の背景などをデモや質疑応答を交えつつ紹介した。

最大の特徴は「曲面ゲーミングディスプレイ」だが、ライバル製品が21:9などより広いパネルを使用しているのに対し、LCD-GC271XCVBは1,920×1,080ドットのフルHDパネルを使用している。

LCD-GC271XCVBのデモ環境。3台ディスプレイで「The Tower of AION」を動かしていた

横から見た状態。R1800のカーブを描いているので1.8m離れてプレイすると囲まれた雰囲気で楽しめる

この理由としてアイ・オー・データ機器 事業戦略本部 事業戦略部 企画3課 主事補の沢野貴史氏は「より幅広い画面モードに対応していないゲームがあることと、複数ディスプレイを使用した際に幅を取りすぎるのは一般的でない」と説明する。

ゲーミング向けとしてFPSなどのジャンルで強く要求される144Hz駆動に対応するほか、スルーモードを使用することで内部遅延は約0.35msと極めて小さく抑えられるのだが、高視野角を実現するためにVAパネルを使用しているため、オーバードライブを使用しても応答速度が6msとやや遅い。

デモ環境で最大のリフレッシュレートにしてもらった。結果127FPSとなり144Hz駆動の威力がわかる。これで回転するとかなりヌルヌルで動く

入力はHDMI×2/DisplayPort×1。スピーカーは内蔵せずヘッドフォンとLINE出力が用意される。デモ環境ではクリエイティブメディアのスピーカーから音を出していた

FPSをヘビーにプレイするゲーマーならば、応答性を最優先とするためにTNパネルを採用した製品を選ぶだろうが、TNパネルは視野角が狭く、ゲーム以外の普段使いやマルチディスプレイ環境にはあまり向かない。高速応答性も重視しつつ「普段使いでのバランスを考えた結果」このような仕様になったという。また4段階のダイナミックビジュアル(DV)モードが用意されており、テキスト/静止画/動画/ゲームのプリセットが利用できる。

プリセットのDVモードは4種類。ゲームモードは補正がキツメの絵作りになっている

テキストモードが最も素に近い絵作り。展示がおおむねゲームモードに設定されていたため「思ったより白い」という印象だ

左がテキストモード、中央は静止画、右がゲームモードだが写真だとあまり違いがわからない

このほか、ゲーム向けのコダワリとして、ゲームプレイ時の振動に負けないスタンドや、エンハンストコントラスト機能、暗い場所での視認性を向上させるナイトクリアビジョン機能が挙げられた。特にナイトクリアビジョン機能は、FPSなどで暗がりにいる敵を発見しやすくなるなどゲームプレイをより快適なものにする。あまりに便利な機能は「チート」として大会では利用できないが、「ナイトクリアビジョンはギリギリ問題なし」という判断になっているとのこと。

多くのディスプレイ同様に使用する前にパネルにスタンドを取り付ける

スタンドの取り付けはねじ止め。VESA100対応との事だが、やや奥になっているので他のスタンドを使う場合は事前に検討が必要だろう

スタンドの高さ調整。左は一番下げた状態。右は一番あげた状態で110mmの差がある

また、がっしりしたスタンドをよく見るとアイ・オー・データ機器のコーポレートカラーが入っており、正面から見えないスタンドの支柱や液晶パネルの裏にもワンポイントで差し込まれている。

スタンドはゲームで使う事を想定してかなり大きめで安定感がある

スタンドが大きいので梱包する段ボール箱も大き目。社長に「何とかならないのか」と言われたそうだ

フルHDのゲーミングディスプレイでは、24型クラスの製品が多く投入されているが、27型というパネルサイズを選んだ理由も聞いた。あるゲームイベントで、試遊台に提供したディスプレイを特価で販売したことがあったそうだ。

その際、真っ先に売切れたのが27型で、次いで31型が売切れとなり、24型が最後まで残ってしまったという。また、試遊台で3画面表示の物があった関係で「3台まとめて"さらに特価"」で販売したところ6組売れたそうだ。もちろんゲームイベントの参加者は特価販売が行われることは知らずに来場している。

合計100台以上を代引きで販売したそうだが、「買うの止めた」という拒否が1件もなかった点も特徴で、そうしたケースから、「LCD-GC271XCVB」は27型からとなったという。