音が立体的に聞こえる「Dolby Atmos」
また、今回有機ELテレビの全モデルに、テレビでは世界で初めてとなる「Dolby Atmos」を採用。発表会では、ドルビージャパンの白柳氏がDolby Atmosの優位性を解説した。
Dolby Atmosは、音響の立体的な表現を実現するサウンド規格で、今回の有機ELテレビにおいては内蔵スピーカーのみで3D音響を実現する。L/Rといったチャンネルの概念を排し、個々の音のデータと共に、刻々と変わる三次元の座標データを記録することで、高さの情報まで加えた緻密な音の配置と動きを再現する。
有機ELテレビだけじゃない
最後に、キム部長が再び登壇して、4K液晶テレビを紹介した。
カラーフィルターの上に極小サイズの粒子を塗布する「Tru Nano Display」技術を採用し、繊細で自然な色合いをナノレベルで忠実に再現。これにより、広い視野角と高い色再現性を実現し、リビングなどで真正面からテレビ画面を見ていない人でも、美しい映像が楽しめるという。
さらにDolby Visionを始めとする様々なHDRフォーマットに対応し、特にハイエンドモデルでは通常の映像をHDR品質に近づける「Active HDR」機能を搭載。より直感的に多彩な機能が利用できるスマート機能も充実させたと語った。
LGエレクトロニクス・ジャパンの2017年上半期テレビ製品ラインナップ。この一覧だとSJ8500とSJ8000の55インチや、SJ7500とSJ6500の43インチがどう違うのか分からないが、外形寸法などの外観、重量、消費電力、スピーカー性能などが若干異なる |
有機ELテレビ普及の年となるか
4K液晶テレビ最上位の「SJ8500」(65V型)が推定350,000円前後なのに対し、有機ELテレビ最上位「OLED 65W7P」のそれは1,000,000円前後と約3倍。下位モデルの「OLED 65C7P」でも700,000円前後と倍の価格差であり、これは映像にこだわるAVマニアでもまだまだ気軽に手が出る製品とは言いづらい。
ただ、一方で「有機ELは映像が綺麗」「有機ELと言えばLG」という認知は着実に広がってきており、量販店の店頭に足を運んだユーザーからは「これが有機ELか! 」「確かに見やすくて綺麗だ! 」と驚く声も多く上がる。有機ELの画面を見たことのないユーザーに、いかに量販店のテレビコーナーに足を運んでもらうかは、同社はもちろん、有機ELテレビを発売するテレビメーカー全体の課題と言えるだろう。
有機ELテレビが液晶テレビ以上に薄く、壁掛けスタイルにマッチしやすい点などは、リビングに設置したときに「人に自慢できる」要素でもある。新築やリフォームに合わせた提案とは親和性も高そうだ。2017年がAVマニアだけに留まらない有機ELテレビの広がりの一年となるか、同社にとって、また業界にとって、試金石の年かもしれない。