家電小売市場全体の販売額は、前年比1.5%減の7兆円。洗濯機やエアコンなどは平均価格の上昇に下支えされ金額が前年から2%増したほか、空気清浄器、ドライヤー、オーブントースターなどが好調に推移し前年を上回った。一方、AV関連製品は、4Kテレビの伸長というプラス要因もあったが、主要製品の需要減を補うには至らず同6%減となった。

インターネット通販は全体が縮小する中、成長を維持。家電小売市場全体におけるインターネット通販の金額構成比は前年から0.5%ポイント上昇し12.1%となった。GfK Japanはボーナスシーズンにおける大型セールの定着も成長の一因であると推測している。

以下、製品分類ごとにみていく。

AV・デジタルカメラ

AV市場は、平均価格の上昇が見られるものの、市場は縮小傾向を維持した。

薄型テレビ 市場規模の推移

薄型テレビの販売台数は前年比15%減の490万台。上半期は2015年のデジアナ変換サービス終了に伴う特需との対比により大幅縮小となったが、下半期は1%のプラス成長に転じた。4Kテレビの販売台数は前年の1.9倍となる105万台となり、薄型テレビに占める4Kテレビの構成比は数量ベースでは22%、金額ベースでは50%に拡大した。40インチ台が市場をけん引し、4Kテレビの画面サイズ別数量構成比では40~45インチが前年の23%から30%へ拡大した。4Kテレビの販売拡大等により、薄型テレビの平均価格(税別)は前年を14%上回る73,700円となり、薄型テレビ全体の金額前年比は3%減となった。

BDレコーダーは前年比11%減の210万台と厳しい状況が続く。中でもシングルチューナー搭載機は数量前年比では41%減、数量構成比では11%に縮小。一方で、4基以上のチューナー搭載機は数量前年比63%増、数量構成比では8%と拡大した。

サウンドバー/サウンドベースも数量前年比7%減となった。縮小の一因として、4Kテレビなど高付加価値テレビに内蔵されたスピーカー性能が向上していることがあげられる。一方で好調なのはストリーミングデバイスだ。新製品の発売等に後押しされ、数量前年比45%増となった。

ヘッドホン/ヘッドセットは前年並みの1,970万本となったが、金額規模は前年比7%増となった。ハイレゾ対応機が数量前年比48%増、Bluetooth対応機が同18%増となるなど、高価格帯製品の販売拡大により平均価格は前年から6%上昇している。

デジタルカメラは販売台数は前年比25%減の380万台とマイナス成長。一方平均価格の上昇は継続し、前年を4%上回った。コンパクトカメラは買い替えや新規需要の低下により、販売台数が前年比27%減の240万台に、レンズ交換式カメラは同20%減の140万台となった。コンパクトカメラでは4K動画撮影モデルの数量構成比が5%へ拡大。交換レンズはレンズ交換式カメラの縮小により前年比19%減の80万本と、2年連続の減少となった。

生活家電

生活家電市場は、販売数量では前年を下回る製品もあったが、平均価格の上昇により金額ベースでは成長を維持している。

冷蔵庫の販売台数は前年比2%減の430万台と、ここ数年で一番低い水準となった。需要期の6月~8月が平年の販売台数を大きく下回ったことが影響している。容量クラス別の数量構成比は前年から大きな変化はない。ここ数年続いていた容量601L以上の拡大もみられず、平均価格は前年から横ばいの90,000円となった。

洗濯機 市場規模の推移

洗濯機の販売台数は前年並みの480万台。洗濯容量別の数量構成比では、小容量クラス(6kg未満)が前年から2%ポイント上昇し29%、中容量クラス(6kg以上8kg未満)は3%ポイント減少し31%、大容量クラス(8kg以上)は1%ポイント拡大し40%となった。大容量クラスの中でも10kg以上は前年から5%ポイント上昇し17%に達した。また、タイプ別の数量前年比では、ドラム式は3%増と2012年以来のプラス成長となった。洗濯容量10kg以上のモデルやドラム式の伸長等により、洗濯機の平均価格は過去5年で一番高い水準となり、洗濯機の金額前年比は5%増となった。

エアコンの販売台数は前年比3%増の790万台となった。前年の水準が低かったこともあるが、市場は総じて回復基調にあるといえる。また、平均価格が上昇したことで金額前年比は5%増となった。

掃除機 市場規模の推移

掃除機は2年連続縮小傾向で前年比3%減の830万台となった。スティックタイプは同19%増、ロボットタイプは同11%増と成長したが、シリンダタイプが同8%減、ハンディータイプが同25%減と縮小した。スティックタイプでは高単価なコードレス式が66%に拡大したことで平均価格が前年から6%上昇し、ロボットタイプも7%上昇したが、シリンダタイプやハンディータイプにおける価格低下で相殺される形となり、平均単価は前年から変化がなかった。タイプ別数量構成比ではシリンダタイプが46%、スティックタイプが33%、ハンディータイプが15%、ロボットタイプが5%を占めた。スティックタイプの構成比は前年から6%ポイントの拡大となった。