大阪府立大学(阪府大)は2月14日、イヌの自律神経の活動状態を心拍変動から評価できる解析手法を開発したと発表した。

同成果は、大阪府立大学生命環境科学域附属獣医臨床センター 島村俊介准教授の研究グループによるもので、2月18日に行われた「日本獣医内科学アカデミー」で発表された。

これまで、ヒトと同様にイヌの心拍変動から自律神経機能を評価する試みが行われてきたが、人と比べて安静時呼吸数が小さく呼吸数変動や個体差が大きいイヌにおいては、周波数領域を指標とする心拍変動の解析は困難とされてきた。

同研究グループは、カオス時系列の特徴解析手法のひとつであるローレンツプロットを用いた心拍変動解析が、周波数領域指標とは異なる時間領域指標としてヒトで用いられていることに着目。ローレンツプロットでは、2次元直交グラフ上において、心電波形から得られる拍動間隔(RRI)に基づき、ある時刻k番目のRRIkを横軸にとり、その1拍後のk+1番目のRRIk+1を縦軸にとってプロットすることで得られる各時点のRRI分布を解析に用いる。RRIの変動が大きくなる副交感神経優位の状態においてはそのグラフ上でRRIの分布が拡散し、RRI が一定に近づく交感神経優位の状態においてはそれらが収束する。

今回の研究では、イヌにおけるプロットの分布変動を解析するシステムを開発した。人為的な 安静あるいは緊張状態においたイヌの心拍情報を取得し、同システムで解析をおこなったところ、安静あるいは緊張といったイヌの状態を評価できたという。

心電測定用の機器は、シャープと共同で新規に開発したウェアラブルセンサを用いており、同研究グループは今後、今回の解析手法を実装したセンサおよびシステムの開発に取り組んでいくとしている。

開発中のウェアラブルセンサーを装着した様子 (出所:大阪府立大学Webサイト)