Windows 10のサポート期間は、バグフィックスや機能改善を行うメインストリームサポートが2020年10月13日まで、セキュリティホールへの対応などを行う延長サポートが2025年10月14日と定められている。しかし、これを額面どおりに受け取ってはいけない。Windows 10は、サービスとして「常に進化するOS」だからだ。
このサポート期間についてMicrosoftは、下記のようにいくつかの条件を付けている。かなり厳しい条件に見えるが、訴訟大国である米国の事情を考えると、致し方ないだろう。
- サポートを受けるためには、デバイスに最新の更新プログラムをインストールすしなければならない。
- 新機能やセキュリティ (もしくは非セキュリティ) 更新プログラムは、すべての機能、すべてのデバイスでの動作を保証しない。
- ハードウェアに互換性がない場合、更新プログラムを適用できない。
- 更新プログラムの適用は国や地域など諸条件によって異なる。
さて、日本マイクロソフトの説明によれば、Windows 10のCBB (Current Branch for Business)は、最新の2バージョンをサポートする方針だ。そんな中、バージョン1507のサポートは2017年3月26日で終了する予定だったが、Microsoftはサポート期間を5月まで延長することを急遽発表した。その理由として同社は、Windows 10における特定バージョンのサポート終了が初めてであることを挙げている。
ここでWindows 10のリリースタイミングを振り返ってみよう。下表のように、CB (Current Branch)、CBB、LTSB (Long-Term Servicing Branch) とサービスオプションによってリリース日が異なっている。
サービスオプションごとのライフサイクルは、日本マイクロソフトが作成したスライドがわかりやすい。なお、Windows 10 バージョン1607 LTSBのリリースタイミングが異なるが、これは地域差が関係している。日本におけるLTSBのリリースタイミングは当時10月1日と言われていた。
さらにMicrosoftは、ビジネス向けWindows 10のメディア配布方法として、WUfB (Windows Update for Business) やWSUS (Windows Server Update Services) などの他に、VLSC (Volume Licensing Service Center) を用意している。数百以上のライセンス購入を行う企業向けに用意したチャネルだが、Windows 10 バージョン1607はWUfBなどでの公開日が2017年1月19日、VLSC上の公開日が2017年1月26日 (いずれも米国時間)。ここから顧客の移行期間を考慮した60日の猶予期間を設けていることから、前述の3月26日が当初の終了日。今回はこの終了日を5月まで延期したことになる。
今回の発表で様々な情報が交錯しているが、あくまでもサポート期間終了の延期はCBBが対象であり、我々消費者が使用しているCBは基本的に最新版のみサポート対象となる。ビジネス向けサポート期間について右往左往している印象は拭いきれないが、WaaS構想導入に伴う混乱期と見るしかないだろう。
阿久津良和(Cactus)