2017年1月27日(以下すべて米国日時)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド15019を、ファーストリングを選択したPC向けにリリースした。既報のとおりゲームモードの搭載やPCゲームプレイ環境の強化、Hyper-V仮想マシンのリアルタイムリサイズ機能など、興味深い機能を多数搭載している。
ハードウェアリソースを有効活用する? 「ゲームモード」
MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド15019をリリースする数日前に、ゲームモードの搭載を知らせるブロク記事を公開している。そこでは「『Beam』によるストリーミング配信の実装」「『設定』に加わった『ゲーム』カテゴリー」そして「ゲームモードの実装」という3つの新機能が明らかにされた。だが、本ビルドの公開を告げる記事によれば、一部の環境ではバグが発生し、新しいゲーム機能を試してみたい方には苦痛だと認識していると同社は説明している。
筆者の環境では、エクスプローラーを含むデスクトップアプリが非常に緩慢になる現象を確認した。現在は内蔵GPUであるIntel HD Graphics 530を利用して2枚のディスプレイ、NVIDIA GeForce GTX 970を1枚のディスプレイに出力させているが、GeForceのディスプレイで表示させたデスクトップアプリのみ、前述の現象が発生する。ちなみにUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)ベースのPCゲームやHyper-Vの動作検証なども行ったが、それらは問題ない。ゲームモードの無効化など試行錯誤し、最後にディスプレイドライバーを最新版に更新したところ問題は改善した。どのようなタイミングで問題が発生するのか確認できなかったが、Windows and Devices GroupソフトウェアエンジニアのDona Sarkar氏がいう「バグ」なのかも知れない。
さて、それでは本ビルドの新機能を紹介する。Microsoftは2016年8月の時点でライブストリーミングサービス「Beam」を買収しており、同社が持っていたプロトコル「FTL(Faster Than Light)」をWindows 10に実装した。その結果[Win]+[G]キーで呼び出す「ゲームバー」からの配信機能をサポートしている。実際に試してみたところ、プレイ動画は「beam.pro」で配信し、アドレスを知る不特定多数の視聴者が楽しむ形だ。
「設定」へ新たに加わった「ゲーム」では、ゲームバーや動画機能であるゲームDVR、そしてゲームモードに関する項目が並ぶ。これまでゲームバーから行っていた設定をOSベースで行う形となるが、筆者を含めた多くの読者が興味を持つ<ゲーム/ゲームモード>だろう。MicrosoftはPCゲームのパフォーマンスを向上させるため、Win32およびUWPベースのPCゲームに対して優先的にハードウェアリソースを割り当てると推察するが、筆者が試した限りはその違いは明確ではなかった。<ゲームモードの詳細>というリンク先は「Xbox on Windows 10サポート」ページも、ゲームモードに関する記述は追加されていない。
そこでUWP版である「Minecraft for Windows 10」を起動し、「Process Explorer」で変化を確認してみたが、プロセスの優先度は変化しなかったものの、ゲームモード有効時はCPU使用率が若干増加し、I/O負荷が軽減したように見える。具体的な効果はMicrosoftの説明を待ちたいところだが、割り込み処理のロジックを変更し、PCゲームを優先するのではないだろうか。詳しくは後述するがゲームモードは多くの問題が確認されているため、もう少し安定してからベンチマークなどを試してみたい。
PCゲームに関する変更はこれだけにとどまらず、以前から行ってきたフルスクリーン表示時に、ゲームバーを起動した際のパフォーマンスを改善するタイトルとして、「Battlefield 3」「Call of Duty: Black Ops 2」「Call of Duty: Black Ops 2 Zombies」「FIFA 14」「FIFA 17」「FIFA Manager 14」「Grim Dawn」「Guild Wars 2」「Left 4 Dead 2」「MapleStory」「Paragon」「Payday 2」「Rocket League」「The Elder Scrolls Online」「The Sims 4」「Tom Clancy’s Rainbow Six Siege」「Warface」以上17タイトルをサポートしている。