―― Android TVは、ソニーのテレビの付加価値に貢献しているのか。

高木氏「Androidは進化するOSであり、常に進化の途中という認識でいる。新たなバージョンの方が使いやすく、機能も豊富で、それにあわせてアプリも増えることになる。

テレビにAndroidを採用した理由は、Androidが持つ使いやすさが担保されていること、バージョンアップによって新たな使い勝手や機能、効能を提供できることにある。これが、ソニーのテレビの付加価値につながっており、自信を持って、これからもバージョンアップをしていく。BRAVIAの場合、ネット接続率は国内では6割に達している。Android TVを投入する前は20%~30%であり、Android TVによって、我々が想定した使い方に近くなってきている。

ネットワークを通じて高品位なコンテンツを流通できる時代になった。メーカーもそれに応えて、高品位なコンテンツをいつでもどこでも楽しめるような環境を提供しなくてはならない。そのためには、コンテンツ制作側、流通側と連携を図る必要もある。ソニーはこうした新たな時代のリーディングカンパニーでありたい。

ただ、Android TVは電源のオンオフに時間がかかるとの指摘があるのも事実であり、これについては、必ず改善する。それも進化の途中のひとつだと理解してもらいたい」

―― Google HomeやAmazon Echoなどへの対応はどうするのか。

高木氏「Google HomeやAmazon Echoなど、新たなハードウェアの使い方や通信の仕方は、これから普及していくだろう。こうした機能を使ってもらえるのであれば、商品戦略上、やっていかなくてはならない。今回のCES 2017でも、Google Homeに関する展示を行っている」

―― 8Kテレビへの対応はどうか。

高木氏「ソニーは日本のメーカーであり、2020年の東京オリンピックは大きなドライブになる。そのときに、どんな放送形態になっているのか、どういった画像の作り方が中心になってくるのかを見据える必要がある。8K放送への取り組みもそのひとつだろう。

ソニーとしても、8Kテレビは積極的に開発していく。投入する時期については言えないが、4Kの次は8Kであるのは明らか。放送開始のタイミングと、そのときにどんな需要があるのかを見ていく必要がある。他社も8Kテレビを開発しているが、他社に比べて早いか、遅いかは関係がない。ソニー独自の事業戦略でやっていくことになる。

それは8Kテレビに関わらず、昨今のソニーの戦略が、他社の影響を受けずに展開していることからもわかってもらえるだろう。他社よりも早いか、遅いかということは気にしていない。顧客本位で、どういう顧客に、なにを提供すべきなのか、顧客ニーズにどう応えるべきかという、独自の事業戦略、経営戦略で事業を立て直してきた自負がある」