1月21日から京都市内で開催される富士フイルムの新製品体験イベント「FUJIKINA 2017 京都」に先立ち、1月19日、京都の二条城にて富士フイルムの新製品発表会が開催された。会場には海外のメディアやビジネスパートナーも数多く訪れ、世界的な注目度の高さを感じさせた。

35mmや一眼レフ、従来システムからの脱却、歴史の転換点

この日発表されたのは、中判デジタルカメラ「GFX 50s」とその対応レンズ3種、Xシリーズの新製品として「X-T20」、対応レンズの新作「XF50mm F2 R WR」、そして高級コンパクト機「X-100F」だ。各製品のスペックなど詳細については別記事をご覧いただきたい。

■富士フイルム「GFX 50S」、あの中判ミラーレスカメラが正式発表
■富士フイルム「X100F」 - 高級コンデジの草分け「X100シリーズ」の4代目
■富士フイルム「X-T20」、AFスピードと精度を強化

特に、富士フイルム初の大型センサーを搭載した中判デジタルカメラ「GFX 50s」については、長く時間を割いて説明が行われた。発表会の会場として二条城を撰んだ理由について、富士フイルム 代表取締役会長・CEOの古森重隆氏は、「二条城は1867年、幕府から朝廷へと政権が返還された大政奉還の舞台。新しい時代の幕開けとなる歴史の転換点という意味で、35mm一眼レフからの脱却をこれになぞらえた」と語った。

富士フイルム 代表取締役会長・CEO 古森重隆氏

キーワードは「大政奉還!」

古森氏は、「富士フイルムは、写真のフィルムとカメラ、両方のメーカーであり、写真文化の継承と発展は使命」と語り、だからこそ2000年以降のフィルム需要の下降、また2011年以降のコンパクトカメラ市場の急激な下降を経験してもあきらめなかったと述べた。

競合企業が続々と撤退していく中、周囲からも「なぜやめないのか」と繰り返し聞かれたが、そのたびに古森氏は「もっと美しい写真が撮れるカメラの需要は必ずある」と言い続けたという。

そして2011年、Xシリーズの先鋒として登場した「X100」は十数万台を売るヒット作となり、後にレンズ交換式ミラーレスカメラをその主軸に据える。古森氏は、Xシリーズを「成長するミラーレスカテゴリーにおいて、スペックや数値では表せない圧倒的高画質、色再現、操作性と、高性能な交換レンズで高い評価を得ている」とし、中判ミラーレスのGFX 50sは、「その極みを小型軽量で実現した」と語った。

3つの「なぜ」でGFXを語る

富士フイルム 光学・電子映像事業部長 飯田年久氏

続いて、富士フイルム 光学・電子映像事業部長の飯田年久氏が登壇。GFX 50sを手に、穏やかな語り口ながら熱くプレゼンテーション。なお、GFX 50sの価格は、「63mmの標準レンズとのセットでご購入いただいた場合、税込で100万円を切る価格」とのこと。2月下旬に世界同時発売される予定だ。

飯田氏は「GFX Challenge」と題し、世界で活躍する35名のカメラマンがすでにGFX 50sの試作機を手に、ポートレート、ファッション、コマーシャル、風景、ドキュメンタリーと、多岐にわたる分野で撮影を行ったと紹介。それら作品の数々はFUJIKINA 2017 京都で展示されると思われる。

世界で活躍する35人のカメラマン

飯田氏は、GFXを「なぜ中判なのか?」「なぜミラーレスなのか?」「なぜ、それを富士フイルムがするのか?」という3つの疑問に答えるスタイルで説明。

答えを簡単に紹介していくと、まず「なぜ中判なのか」については、「より良質で潤沢な光を求めた」と回答。「最高峰の写真画質を得るためには、より大きなセンサーが必要」で、たとえばGFX 50sと同等の画素数(5,140万画素)を持つ35mmフルサイズセンサーと比較した場合、1画素あたりの大きさは、70%もGFXが大きくなる(受光量が70%多い)。「その結果、得られる解像感や階調、奥行き、被写体の立体感がまったく違うものになる」という。

1画素あたりの面積比の差のイメージ

ハイライトから黒つぶれまでを豊富な階調で再現

大型センサーならではの立体感とボケの美しさが際立つ