次に「なぜミラーレスなのか」だ。その答えは「従来の写真撮影のさまざまな制約や制限から撮り手を解放して、自由なスタイルを提供できるから」。GFX 50sのボディは920g。サイズも、一眼レフのフルサイズ機より小さいほどコンパクトだ。「これはミラーレス機だから実現できた」と飯田氏は言う。
また、「ミラーショックの問題も無視できない」とも。一般的に、画素数が増えるほどミラーショックの影響は大きくなる。富士フイルムによるスタジオ調査では、ミラー跳ね上げ時の振動によって、解像力が15%低下するとの結果が出ているとのこと。GFXはこれを回避するだけでなく、シャッター音も驚くほど静かだ。
飯田氏によれば、AF精度においてもミラーレスは有利だという。「撮像センサーとは別にAFセンサーを持つ一眼レフは、被写界深度が浅い大型センサーでシビアなピントを求めるのは難しい。しかし、センサー撮像面で測距し、ピントを合わせるミラーレスなら、ピントは飛躍的に向上します」(飯田氏)。
最後に「なぜ富士フイルムがそれをするのか」の答えは、「35mmフィルム時代からのレンズマウントや一眼レフといったオールドレガシーを持たない会社だから」。「それらのしがらみに縛られることなく、先進分野に投資し、それをやり抜く技術力もある。たとえば、GFXのセンサーは独自に設計した専用センサー。44mm×33mmもの大きさがあるので、その隅々まで受光させるようにマイクロレンズを合わせて設計しています」(飯田氏)
定評のある色再現についても、「富士フイルムのカメラが持つ最大の特長」と自信を見せ、「自然界の色をそのまま再現するのではなく、人の記憶に残る感動を呼ぶ色。それを再現する技術」と説明。映像エンジン「X プロセッサー PRO」が実現するフィルムシミュレーションや、新搭載のカラークロムエフェクト(彩度が高い被写体の立体感を復元する機能)など、「富士フイルムが最も好評をいただいている『JPEG撮って出し』の世界。その高みを極めていく」と語った。