―― 昨年来、北米でもオーディオに力を注いでいるが。
平井氏「北米市場においては、まずはテレビに力を注ぎ、4Kを中心にいい形で成果があがってきた。北米市場で次の強化点はオーディオである。北米だけでなく、欧州でもハイレゾの認知度は少しずつあがっているものの、加速度的に普及しているという状況ではない。とはいえ、いい音を体験してもらうと、評価してくれる人が多い。もっと体験してもらう場を増やすことも大切だ。
ソニーは、ハイレゾの流れを確実なものにするために、アーティストとのコラボレーションを積極的にやるという手も打てるが、『ソニー=高品質のオーディオ』というメッセージを、どうやって北米のお客様に伝えていくかが大切だと考えている。ここは、腰を据えて取り組んでいく考えだ。アジアや欧州、中南米では、『ソニー=高音質のオーディオ』というメッセージが確立されており、これらの市場でオーディオ事業は好調だ。北米でも同じような形にもっていきたい。
ヘッドフォンもハイレゾの広がりには重要な製品である。ソニーは、ノイズキャンセリング機能を軸に提案しており、フラッグシップとなる『MDR-1000X』は高い評価を得ている。今回のCES 2017で、そのシリーズ展開として、インイヤータイプやネックバンドタイプを参考展示した。この分野は、ソニーとして差異化できるものを出せる領域だと考えている。ノイズキャンセリングは積極的に展開することで、『音のソニーは、ここにあり』という提案をしていく。ソニーグループとして、なるべく多くのハイレゾコンテンツを用意する考えだ」
―― アナログオーディオに対する注目が高まっているが、ソニーはここにどう取り組むのか。
平井氏「ターンテーブルを発売して、それなりの手応えがある。欧米だけでなく、日本でも盛り上がっている。個人的にも、マイルス・デイビスの『Kind of Blue』のアナログレコードを買って、ターンテーブルで聴いてみた。
実はあまり期待していなかったのだが(笑)、針を置いて聴いてみたら、ハイレゾもいいが、アナログはなんでこんな暖かみがあり、奥行きのある音が出るのだろうと感じた。そう思っている人は多いはずだ。A面、B面ということを体験したことがない世代が、アナログオーディオを体験できるような場も作りたい。
アナログオーディオは、急激に市場が拡大するわけではないが、アナログに対する興味、関心が高まっているのは確か。ソニー・ミュージックでも、一部タイトルでアナログ盤のプレスを再開した。ソニーグループとして、コンテンツの方からもアナログオーディオをサポートしていく」
アナログレコードをハイレゾ変換できるターンテーブル「PS-HX500」 |